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演題:東日本大震災における自衛隊の活動・任務 須藤彰東北方面総監部政策補佐官
【略】
それから地方自治体の機能喪失ということもあります。災害対処の大まかな枠組を説
明しますと、災害については、法律上、地方自治体、それも住民に最も近い立場にある
基礎自治体の市町村が中心となって対応することとなっています。したがいまして、我々
の自衛隊も災害派遣を行いますが、これは原則として、都道府県知事からの要請を受け
て行うことになっています。つまり、災害対処の基本は地方自治体というわけです。
場所によっては、倉庫には物資が豊富にある、もう少し踏み込んで言えば、倉庫が物資で
あふれている。それでも、これからお話しますように、様々な事情がありまして、自衛隊が
配ろうとしても、自治体が「うん」と言ってくれない。結局、自衛隊としても、配りたくても配れない。
このように、被災者にとっても、我々自衛隊にとっても、つらい状況となることもありました。
「機能不全というのは、自治体の庁舎や職員に被害が発生する、
つまり、いつもと全く違う状況になってしまったから機能しない。」と思われているが、
実際には「長」のつく職員の多くが亡くなってしまった岩手県の大槌町は、残っていた
担当ばかりで、もうここは自分たちでやらないといけないと、非常に機敏に、高い意識を
もって、職員は動いていました。
岩手県の陸前高田市は市長はなんとか助かりましたが、幹部の多くが亡くなり、庁舎も
流されてしまった。機能不全かと言えば、やはり違う。こちらも非常に動きが良いわけです。
正確な言い方は忘れてしまいましたが、経営学で中間結節点を無くしてフラットな組織を
作ると、意思の疎通が速くなって判断がスムーズにいくという考え方があったと思いますが、
正にそのとおりです。他方、これまた意外なのですが、実際に現場にいますと、庁舎も
しっかり残っている、幹部にも被害がない、要するに普通、今までどおりの自治体ですが、
こういうところに限って、機能しないのです。
具体的には、救援物資の配分であり、「あそこの避難所には100人くらいいるだろう」程度でも、
情報が入れば上出来であり、それに合せて自衛隊は150人~200人分の物資を持っていこうとする。
しかし、役人は「絶対に間違ってはいけない」と考えますので、自治体の職員からは、「『100人くらい』
では困りますよ」と。「正確には95人なのか105人なのか、そこをハッキリしてほしい」「いい加減に
物資は配れません」と言われてしまいます。
物資の所有者は地方自治体であり、自衛隊の一存では配れないのが現状。配りたくても配れない。
「非常時に、律儀にそんなことを言っていたら、話が先に進みません。助かる命も助かりませんよ」と
説得しても聞く耳をもちません。平素、優秀な役人とは、絶対に間違いをしない人です。また関係者に
気配りして、しっかりと根回しを行える人です。ただ、その習性で、救援物資を正確に配ろうすると、
時間ばかり経ってしまって、どんどん物が腐っていく。
自衛隊はそれほど多くの機材を持ってはいません。したがいまして、今回は、市町村の方で予算を
取っていただいて、重機をリースしてもらいました。そうしますと、対応が早い市町村は、すぐに重機を、
しかも大量にリースしてくれます。逆に対応が遅いところは、いつまで経っても重機を確保してくれない。
重機がなければ、自衛隊は手作業で片づけを続けるほかありません。自治体によって、復旧作業に
大きな差が出てくるのは、このような事情があります。
http://www.mod.go.jp/rdb/n-kanto/event-katsudo/seminar/20gijiroku.pdf
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