無 ３度目の月命日

非通知でかかってきた電話

オレオレだとばかり思っていたから

適当に対応して迷惑そうにきった通話記録

それから二週間後逝ってしまった

あの非通知がもしかしたらと思ったのは

逝った後だった

消したくなかったから新しい記録を消去していたら

あわててやったから

消してしまった

あの人のわけがないというと

あの人の友が

「いや・・ありえるだろう」みたいに言っていた

その友にもその時間帯にメールがあったそうだから・・

内容は聞かせないで・・といった

あの人はモウ電話をしないといったから・・

それから・・４０年だから考えるはずがなかった・・・

話がしたい・・・幸せか・・・といってきた・・・・

思いもしない相手だし・・・オレオレかと思って・・・

冗談交じりでにぎやかに対応したから・・・・

いいか・・・と思っている

数年前にもそんなことがあった・・・

少し話そうといっていた

まさか・・・でも・・

もう・・・

確かめることはできないが・・・・

無

拓郎が好きだったと聞いた

ギターの楽譜本？１７の冬に贈ったような・・・

私は美代ちゃんに似ていたはずだった

古い・・きおく

あの人が教えてくれた歌は

映画追憶のエンディングとふきのとうの春雷

切なさがこみ上げてくる

岬めぐりを探して聞いたとき

ミクが歌っていた

「悲しみ深く胸に沈めても　あなたのことが忘れられない・・・」

誰が付け足したんだろう

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無

私はあの人を見ていた

あの人は私を見ていた

だが

すれ違いの二人だった

見失っても探さなかった

追いかけなかった

怖がりの二人が逃げ回っていた

同じ傷を持ちながら口にせず

さすってもあげなかった

お互いがいなくても生きられた

心にいつもいたから・・・

そうではない

近くにいると怖かったからだ

傷つけてしまったら

癒そうとせず傷口を広げてしまうからだ

繊細な心が怖かったからだ

無

あのひとが逝ったとき

何を思ったのだろう

知らせてくれた人はどう思っただろう

何が起こったのか・・受け入れず対応したのかもしれない

あの温かい人が冷たく固くなっていくのだということはわかった

温かいときは・・・そばにいなかった

つめたくなって・・・・・そばにいるような気がした

涙はでなかった

あの人の顔を見て帰りの新幹線で発車を待つとき

青空に雲が見えたとき

涙があふれ止まらなかった

ちょうどあの人が煙になった頃だろうか

夜行列車で逢いに来たのは何歳のときだったろう

何年が過ぎて今日がやってきたのだろう

もう・・・

この街に来てもあの人はいないのかと思うと

またあふれた

でもなぜと考えて

また思うのをやめた

無

あの人が結婚するとき

幸せにしてもらうんだよ・・そう言った

女の人に言う言葉かなとも思った

幸せを願っていた・・・

つもりだった

願い方に誤りがあったのか・・・・・

たずねて見る

だが

ソウカ・・アイツハモウイナインダ・・・・・・

・・・・・こころがとぎれていく

モウ風の便りも届かない

悔しいのはあの人だろうに・・・

やっぱり・・くやしい・・