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機動戦士ガンダムF91

2000-10-04 12:50:00 | 映画-2000年

「渡る世間は鬼ばかり…?」

『逆襲のシャア』の後に劇場公開された作品で、年代的にも『逆襲のシャア』以降の物語。
 シャアやアムロといったファースト世代は全く登場せず、キャラクタも一新されている。唯一、昔の面影を残しているのは、博物館に陳列されているジオンのモビルスーツぐらい。

 冒頭から何の説明もなく戦闘が始まり、ストーリーを追うに従って、徐々にタネが明かされていく。それと同時に、登場人物の人間関係も明らかになっていき、物語はどんどん核心へと進んでいく。
「このペースで大丈夫なのか?」
 複雑な人間関係と一枚岩ではない組織の対立など、非常に中身の濃い設定で、観ている最中にビデオの残り時間が気になってしまったほど。

 この懸念は見事に的中し、ごくごく小さな部分での局地戦が終結しただけでジ・エンド。作中で思わせぶりだった伏線やら設定などはほとんど解決せず、なによりも物語の発端となった革命戦争は結果が出ないままだった。
「なんてこった!」(by タシロ艦長←最近のお気に入り)
 うめき声を上げながら情報を調べてみると、この『F91』はもともとテレビアニメ用に企画されていたものを、劇場版にしたらしい。
 当然、50週間ほどに渡って放映される予定だったものを、2時間ほどに圧縮したわけだから、未消化・未解決の伏線や設定が溢れるのは仕方がなかったのかもしれない。

 そのためか、この作品は従来のガンダムと違って、戦争や人類などといった巨大なテーマはバックボーンにはなっていたが、メインテーマにはなっていなかったように思える。
 この物語そのものは「親と子」の関係といったテーマに絞られている(そのことは監督の富野氏も語っている)。
 そして、このテーマは十分に解決しているように思えた。
 いつもの富野作品なら、たいてい親と子の関係は断絶したまま終わるものだが、こちらでは主人公の親子はきちんと和解している(別の親子は破綻して破滅したが)。

 また、ヒロインなどの主要人物が、あまり死ななかったのも特徴的だ。敵側の主力モビルスーツパイロットで死んだのは二人だけだ。
 富野作品は私がお気に入りの人物(マチルダ、フォウ、チェーンなど)をたいてい殺すのだが、こちらではあまり死者は出ていない。
 おそらく、これがテレビ化されていたら死にまくりなのだろう。でも、時間が限られた劇場版で、テーマを「親と子」に置いたため、周辺的な登場キャラクタには死ぬ機会そのものが与えられなかったのではないだろうか。

 いずれにせよ、ファーストガンダムからの流れからは、ちょっと外れた作品という印象を抱いた。
(そういえば、最初はガンダムという名称も存在していなかったし)

『機動戦士ガンダムF91』(ビデオ)
監督:富野由悠季
出演:辻谷耕史、冬馬由美、前田昌明、草尾毅、小林清志、他
評価:5点


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