「いつか、どこかで見た風景」
剣と魔法が彩る中国の伝奇がモチーフとなった映画。いわば東洋版『コナン・ザ・グレート』といった感じである。
文化が違うためか、時折、奇異に感じる場面もあったりして、西洋風のファンタジーしか知らない私にとっては新鮮な場面もあった。
ストーリーが伝奇、つまりファンタジーということで、魔法やモンスターはCG(VFX)を駆使して表現している。ところが、その映像は、いつかどこかで見た風景を思い出さずにいられない。
のっけから登場するオープニングのCGムービーは、まるでコーエーの歴史ものを彷彿とさせる。
また、空を飛びながら戦うシーンはまるで『サイキック・フォース』を思い出させ、手からビームや氣を放出させるシーンは『ストリートファイター』や『ドラゴンボール』を思い出させたりする。
さらには幻獣の炎の麒麟と戦うシーンは、まるで『ファイナルファンタジー』の戦闘シーンそのものである(麒麟はさしずめ召喚獣といったところ)。
ハッキリ言ってしまうと、この映画は日本のアニメやゲームの印象的なシーンを、そのまま抜き出して作ってしまったような映画である。
制作者はそれを否定するかもしれないし、意図せずして作ったのかもしれない。だが、現実にフィルムに焼き付けられた、これらのシーンは紛れもなく日本発の映像・ゲーム文化のそれである。
だが私は、これをパクりだといって批判するつもりはない。
演出そのものは既存のモノかもしれないが、それを実写で実現したということに私は素直に驚きたい。
また、完全なパクリというわけではない。随所にオリジナリティを発揮している。
先に触れた麒麟との戦闘シーンは、その決着の仕方に度肝を抜かされるので、興味のある人は是非とも観てほしい。
ただし、オープニングとラストのCGムービーは全く意図が不明だったのだが…
最後に、この映画で最も特筆しておきたいのは、最大の悪役を勤める千葉真一の怪演である。
メイキャップのせいもあるのだろうが、いかにも悪役然としたその顔は、まるで『三国志2』の武将のようである。
さらに、やたらと気合いのこもった戦闘シーンは、完全に『ドラゴンボール』のタオ・パイパイを越えている。
そして、圧巻なのがラスト。あの壮絶な表情は、まさに「役者バカ」千葉真一の真骨頂であろう。
『ストームライダーズ』(ビデオ)
監督:アンドリュー・ラウ
出演:千葉真一、アーロン・クォック、イーキン・ツェン、クリスティ・ヤン、スー・チー、アンソニー・ウォン、他
評価:5点(千葉真一に+1)
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