「人類の進化は容姿までも進化するのか?」
いわゆる『ガンダム』の正統続編ともいえる作品。
ひょんなことから富野由悠季氏のインタビューを読み、それで興味を持って観てみた。
『ガンダム』は観ていたけど、さほど熱狂的に入れ込んでいたわけではない。
とはいえ、テレビアニメ版の設定が活かされていて、テレビ以降のサイドストーリー(OVAなど)を観ていなくても、話の筋は理解できた。
ニュータイプを巡る話や、アムロとシャアの因縁話も、基本的にはテレビ版を観ていれば理解できるはず。
そういう意味では、まさに「正統続編」だと思う。
で、観た感想だけど。
ムサ苦しい軍人(黒い三連星みたいな)がいなくなり、みんな若くて美男美女ばっかり。
ニュータイプになるには容姿も関係あるんでしょうか?
それと「恋の鞘当て」で戦争してるの? という印象を抱いた。
いろんなところで三角関係が見られ、それを巡って恋の火花を散らしている様は、まるでラブコメマンガのよう。
しかも、その恋の鞘当てを戦場でやってしまう。文字通り、本当の意味での鞘当て…っていうかビームサーベルで斬っちゃってます。
原作・監督の富野氏の作家性や思想などは詳しく知らないけれど、恋愛関係を戦場に持ち込むなよ、って感じ。
一応、そこは単純な恋愛じゃなくて、それなりに意味づけもされているのだけど(特にシャアとララァに関しては)、でも当時者以外の戦死者にとっては、「冗談じゃねえ」ってこと。
戦争映画が好きな私としては、比較的軽い動機で戦う(戦えちゃう)、この作品の登場キャラには違和感を覚えた。
まあ、本人にとっては、それこそ惑星1つ・コロニー1つよりも重要な問題なんだろうけど。
でも、『マルコムX』とかを観ちゃうと、「そうじゃないだろ」って思ってしまう。
昔(『機動戦士ガンダム』)の頃は、家族を食わせるためとか、名誉や軍のために戦う人とか、けっこう切迫した動機で戦ってたのにね。
ああ、でもアムロ自身が自己満足のために軍に在籍していたか…
ただ、件のインタビューで富野氏は、若い世代(本作の新キャラと視聴者のダブルミーイング)に対する乖離感を吐露しているので、そういうのを描いたのかな、という気もしないでもない。
そういう意味では、ブライトの息子ハサウェイの「だから、大人は…」みたいな発言も出てきたのではないか。
また、同インタビューでは『新世紀エヴァンゲリオン』をやたらと敵視していたけど、観る側の観客としては、どちらも「娯楽作品」としては十分に楽しめる作品。
つまらない映画ではなかった。
2時間たっぷりと楽しめる良い映画でした。
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(ビデオ)
監督:富野由悠季
出演:古谷徹、池田秀一、鈴置洋孝、榊原良子、他
評価:6点(ガンダムなので+1点)
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