僕のBL初体験は、この本に奪われた。
『ボーイズラブ小説の書き方』を読んでいたので、どのようにして書かれているのかは分かっていたけど、実際に書かれたものを読んでみると――わりとおもしろかったよ。
この本を読んで自己の内面を見つめ直すとか、宇宙の深淵に触れるとか、そういうことってのはあり得ないだろうけど。
でも、サクッと読んで、サクッと楽しめる、っていう意味では良くできたお話だと思った。
著者自身も、あとがきでメガネキャラへの萌えを熱く語ってるし、「そういうものだ」と納得すれば受け容れられる。
主人公の千聖の感情の起伏と、お話の起承転結がきちんとシンクロしているので、主人公のことだけを追いかけているだけ楽しめる内容になっている。
(逆に言うとそれしかないんだが)
特に、クライマックスのレイプされそうな場面(男が男を!)では、王道ど真ん中のお約束どおり過ぎる展開になってクラクラと目眩がしそうなほどに嬉しかった。
王道だからこそ得られる嬉しさってのもあるもんだ。
んで、その千聖なんだけど、ああ、こりゃ委員長キャラだよなぁと思いながら読んでいた。
「好きだ」という発言はなかなか出てこなくて、むしろ悪し様に罵ってばかりなのに、委員長の気持ちが手に取るように分かるってのは……これがヲタク的な文法ってことなのか。
特に気に入ってるのがラストの
矢ヶ崎「好きだ……ずっとおまえが、好きだった」
委員長「……それは、もう聞いた」
なぜか、この場面で身悶えしそうになった、オレ……ポイントがずれてないかと、やや心配。
興味深かったのは、カレシになる矢ヶ崎の性格っていうか、キャラ性がエロゲーの主人公と共通点が多いところ――わりとイケメンで、ガタイが良くて、口が 悪くて、勉強はそんなにできないけど喧嘩は強くて、斜に構えてるけど根は良いヤツで、Hが上手、まんま『同級生2』の主人公だ――こういうキャラっての は、H系ではウケが良いんでしょうか?
最後に、この世界の男子校の生徒達は、あからさまに変です、とだけは言っておきたい。
委員長に挨拶してもらって「キャー」と喜ぶ後輩ってのは、お前らギャグってるだろと突っ込まずにはおれなかった。
でも、百合モノを読んだわけじゃないので、こういうお約束を「変」の一言で片づけるわけにもいかんかも。
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