いろいろ。

同人サークルA-COLORが北海道をうろうろしながら書いているブログです

『回廊』第6号 『バッド・ログ』

2006-01-03 17:21:50 | 日記

kairou_06

 知ってる人なら……っていうか、『回廊』を知っている人なら、この「小説」が掲載されているWebサイトってのがすぐに思い当たる、メタフィクション的な書き出し。

 で、この「小説」は「日記」を道具立てとして書き連ねられているわけだが、ある時点を境に作中内小説と作中内小説の日記の、虚構と現実がねじ曲がる。
 どこからが虚構で、どこまでが現実なのか、そもそもどっちが虚構で現実なのかも、読み進めていくと分からなくなる。
 で、さらに、最後の最後で、もう一人の語り手というか書き手が現れたところで、ぷっつりと切れてしまう。
 この小説の語り手、作中内小説の語り手、そして日記からなる三重構造。いずれも一人称視点を前提としており、読者からは本当の語り手の姿が排除されている。
 で、各々の語り手が現実と虚構の境目を把握していないので、結果的に読み手は混乱してしまうのだと思う。
 いや、もしかしたら正しく一本の糸で繋がることもないのかもしれない(これはオレの推測だけどさ)。
 おそらく混乱させることを目的としており、それがこの小説の実験なのだから、それはそれで評価するべきだとは思う。構造を読み解く、という作品ではないだろう、たぶん。
 仮に、最後に登場するテキストファイルの持ち主が明かされたとして、そこに納得できる理由があったとしても、「ふぅ~ん」というだけだろう。っていうか、現実として、この作品では持ち主は明かされないし(推測はできたとしても)。
 こういう仕掛けで書くと、何がなにやら分からなくなって混乱してしまいました、という感想で十分だと思ったのだけど、いかがなもんでしょうか?


最新の画像もっと見る

コメントを投稿