「ねこじいさん」
ねこじいさんが高い塀を垂直に登った
その上をスタスタと歩き出した
私は気を集中して体から意識を離し、ねこじいさんの後を追いかけることにした
私は体から意識を離す事ができる
離した後の意識は形も大きさも自由自在である
私は意識をねこじいさんの大きさに整えた
スタスタと歩くねこじいさんの少し後についた
ねこじいさんは塀から少し上のトタン屋根にひょいと飛び移り
その少し上の瓦屋根にまたひょいと飛び移り
瓦屋根のてっぺん目指してまたスタスタと歩きはじめた
すでに私の存在には気づいているらしく途中で片耳をこちらに向けたが一向に気にせずに歩きつづけた
そして、てっぺんに腰を下ろした
私もねこじいさんの隣に腰を下ろした
ねこじいさんは遠くをじっと見ていた
「ねこじいさん 何か見えますか」
「・・・あしたじゃよ…」
ねこじいさんは気を集中し意識を離してるのが感じ取れた
「ねこじいさん どこへ行くのですか」
「ちょっとあしたへの…」
さすがねこじいさん
私は未来へは飛ぶことができない