華やかな型振袖です。
Twitterで書きましたが、シロガネが20年近くお世話になった会社にテレビ(県内)の取材が入ったことがありました。それは幾度かありましたが、その時録画していたのがありましたので、それを紹介しながら、着物がどうやって、作られるか、紹介します。
シロガネも全てを把握しておりませんので、少々間違いがあるかと思いますが、おおむねこういう感じです。ちなみにシロガネは全く映っておりません。その頃は多分、2階の古い建物の方にいたのか、別の所におりました。
企画です
ナレーション
「友禅の着物作りは柄の構成やデザインから始まります。そこから実寸大の図案を作り色の構成を決めてゆきます」
ナレーション
「この時点ですでに、出来上がりの華やかさが伝わってきます」
染料を作っております。
ナレーション
「一着の振袖で多い時は50色ほどの色を使用します」
色見本を作っている所です。
ナレーション
「実際に布に染めてみて、サンプルを作り、台帳で管理します。着色してから蒸気で蒸すことで、発色がよくなります」
振袖は特に多くの色を必要とされます。
白生地の山。これから各々の着物になってゆきます。
丹後縮緬です。目の前にあるのは振袖用です。
この赤い印と黄色の判は重要でした。日本の絹と言う証拠になります。
隣にあるのは留袖用です。一越でしょうか?
管理と呼ばれていた部屋で白生地の検反を行ってる所です。
ナレーション
「染に入る前に白生地を入念に検査します白生地も織方によって布の表情が違います。そのデザインに相応しい生地を選びます」
一反、一反汚れ等がないか確認するのです。
板場です。
ナレーション
「板場と呼ばれる部屋です。反物の長さは13メートル。振袖だと16メートル。それを板の両面に固定して、加工します」
糸目を置く作業です。
ナレーション
「模様の輪郭にゴム糊を置く、糸目置き。隣合った色が混ざらない様、境目を作ります」
京都の高級品は手作業ですが通常の糸目は型紙を使用してゴム糊を引いて
柄を置くのです。手描ものの場合はそのまま伏を被せます。
型振袖・型訪問着・着尺などは、こうして柄と同じ色をヘラで引いてゆくのです。
こうして型紙をはがすと・・・・
こんな風になります。
緑の葉の部分ですが細かい柄も同じく行います。
黄色の所は金箔を貼る所です。
ピースと言う作業です。染料が入ったスプレーを吹き掛けて柄の中にボカシを入れるのです。
こんな感じになりますが、時たま地入れの時に白地の所にピースが飛んだ跡が合って、それを見付けた時は板場の人に確認してもらいました。
必要な色が全部終わるとこんな綺麗な模様になります。
次に伏せを行います。
伏せ糊を被せている所です。
それが終わるとナイロンを伏せに被せて反物を巻いて、引き染に回します。
板場では型紙を一枚一枚洗わなくてなりませんので、引染の作業がないとき、良く型紙の洗いの手伝いをしに行ったものです。
洗ったものはこうして一枚一枚、干して、乾いたら外してゆくのです。
他の会社に比べると、型紙の枚数はとても多いとの事で
それだけの多くの柄や色を使用しています。
反物一反につき300枚、そんなにあったんだ!。これは一つにまとめてくるくると巻いて置く等イロイロなまとめ方があったようです。
映像には出て来ないのですが、色を引く前に『地入れ』という作業を行います。軟水に布海苔そして豆汁を各々の反物によって濃くしたり薄くしたりして、一反広げて、伸子を張ってから刷毛で地入れの作業をします。
それは染料の浸透を遅らせて、刷毛の繋ぎめの跡が残らないようにする役目と柄の中に染料が入り込まない役割があるのです。
シロガネが引き染に入って来たときは、地入れ担当の人がおりまして、色引きを覚えるのに刷毛の扱い方を覚えないと、なりませんので、必ずその作業は覚えなければなりません。
地入れのやり方はその人達に教えてもらいました。伸子の張り方やその伸子と伸子の間隔の取り方や足の動かし方、リズム感で持って覚えるように言われました。伸子の張り方は皆早くて、シロガネは最後まで遅いママでした。(涙)(涙)
先に板場で伏せを柄全体に被せましたが、地入れで上手くやらないと、伏せが引き出してしまい、色を引いた跡にその引き出た跡がそのまま残ってしまうことが、ありました。
「お前の地入れのやり方が悪い」
としょっちゅう言われました。本当にそれに関しては様々ありましたが、現代では除湿機や扇風機等を使って地入れした後は早く乾かせば、それも大分収まることが分かってきました。でもやはり上手くやらないと、引き出しの跡は出てきますので、油断なりません。
引き染めをする作業場です。本来は濃地を染める専用だったのですが、外注さんにも反物を出さなければならなくて、やもえなく隅の方でも薄地を染める事になりました。
染める前に生地のシワ等を伸ばす為に又さらに伸子を細かく張ってゆくのです。
染める前に必ず企画から来る、伝票を見てから、色やボカシの指示に間違いがないかとよく確認をしたり、反物にもバーコードで柄番・配彩・設計番号が入力してありますので、伝票と合っているかと確認します。その確認をキチンとやらないとボカシ間違い、色間違い等の間違いが起こってしまって、大変な事になります。
これは恐らく裾に濃い色を使用した裾ボカシでしょう。シロガネは薄地担当でしたが、基本的にやり方は変わりませんが、濃地はムラが出やすく難しいのです。
以前裾は赤で地色はクリームというのが合って、2階の薄地の作業場でしたことが、ありますが本当に大変でした。濃い色でしたからムラが出ないように気を付けるのは勿論ですが、染料が飛ばないように相当刷毛の動かし方に気を付けて、おっかなビックリ進めました。
ナレーション
「全体の地色を染めます。模様部分は染まらないように糊伏せされています。長い反物を端から端へと染めるには高い技術が必要です。着物になった時、生地の色がピッタリ合うよう特に濃い色の場合難しくなります」
「教えて、教えられない技・・・・」
伏せのうえに書いてあるのは地入れ前に青花で書いたボカシのラインです。
色を引いている人はその道40年の大ベテランの人です。
ボカシをする時は水を入れたスプレーでボカシラインの所に吹いて色をぼかすのです。
手早く刷毛を動かしてサッと色を引きます。染料には事前に布海苔を入れるのですが、濃い色は元々海苔が入れてあるので、濃い色はかなり少なく、薄地は布海苔は多めに入れていました。
そしてこれは必ずしなければならなかった事ですが、色が柄に差し込んでいないか、つきみの確認をしなければなりませんでした。それを怠ると、全体の柄に色が差し込んでしまっていた・・・・なんてことがありました。
刷毛を使用しますので、当然抜け毛があります。それで色を引き終わった後に抜け毛がないかと全体をぐるりと回ってピンセットで抜け毛を取ってゆきました。
抜け毛を見落とすとその抜け毛が跡として残ってしまいますので、それを修正するのに1本で500円かかりますので、見落とさない様に何時も気を付けておりました。
腰を屈めての作業です。作業量は無地やボカシ等によります、何よりその人の技術によるものが大きいです。ベテランの人は流石に早くて、何反でも進められますが、複雑なものだと、当然こなす量は少ないです。
シロガネの場合は
「今日はもう少し頑張ってくれ」
と言われる位の遅さでした。
色引きは集中力も重要でした。一日に何反も染めなければなりませんから、うっかりそれが切れると、必ず間違いを起こしやすいのです。
こちらは白地のブルーをメインの雲取りの染め分けですが、エリの所はボカシが入っております。
番号が書いてあるのは、色数が多いので色を入れる前にした図を見ながら、青花で番号を書き入れてから作業に入ります。中に入れる色数が多いとそれだけ染め分ける所が多いので、時間がかかります。
途中で休みなく間違いがないかと図案を見ながら確認して作業を進めてゆきました。
ナレーション
「水で洗って糊伏せの糊を落とします。友禅流しと呼ばれる工程です。豊富な地下水を利用しています。鮮やかな色模様が次々と浮かび上ります」
水洗です。こうして伏せを洗い落としてゆくのです。軟水が使われています。冷水ではないようです。腰を屈めながらの作業ですから大変でしょう。
ヘラで伏糊や余分な汚れを洗い落としてゆきます。
伏せが洗い流されるとこうゆう感じになります。
水洗が終わった反物はこうして乾かしてゆきます。
手描きものですと、その後引き染めに回されて、軟水に布海苔を入れた糊水で手描き地入れという作業を行います。それは色挿しの時に色が滲まない様にする為です。
本来は手描きの人達が行ったいましたが、引き染めで手伝って欲しいと頼まれて、それが何時の間にか引き染めの作業の一つになりました。
シロガネも人が少なくなるに付けて、それ専門となってゆきました。正直色引きよりは気持ちは楽でした。
手描きです。
ナレーション
「手描友禅の場合は全体の地色を染めてから、模様を描きます手描でしか出せない、繊細な美しさ、柔らかさボカシの表現があります。一筆一筆丹念に描きます」
京都や金沢とは少しも変わらず一つ一つの手作業で色を挿してゆきます。
社内でもしておりますが、こういう作業が好きだという奥様方が内職として行っております。
色を全部挿し終わると、蒸しへと回され、色を定着して又水洗で洗われます。それから仕上げへ。
金箔を貼る等の作業です。
ナレーション
「金箔や銀箔など仕上げの化粧を施します」
これも皆手作業で行います。
ナレーション
「まっ白だった反物が、数々の手技の積み重ねによって華やかな友禅へと生まれ変わりました」
珍しい絽の手描振袖です。
完成品の検査です。こうして何処かに汚れや色の入れ忘れ等がないかとくるくる手回ししながら、確認してゆきます。それが終わると仕上げに回されます。
中検といって途中でも検査をします。
何かあると放送か、内線で呼び出されます。それで確認します。
仮絵羽にする為に縫っております。
社長
「全て手作業、職人の手技によって行われているものですから、そんな技術を皆さんにご覧になって頂いて、着物の素晴らしさや楽しさというものを感じて頂けるようないい着物作りに、さらに精進して、努力してゆきたいと、そう考えております」
ナレーション
「年月を掛けて、極められた着物作り・・・・」
手描振袖ですが、紫や赤の松の柄は絞ってありますので、絞振袖と呼んでおりました。
皆各々の過程において、手作業で作られてゆきました。最近は機械でプリントみたいに着物を染める所もあるそうですが、シロガネがいた会社はあくまでも手作業にこだわって着物を作っておりました。