映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、無法地帯の最前線を描いたクライムサスペンス「ボーダーライン」です。
麻薬ビジネスの巨大化による無法地帯と化したアメリカとメキシコの国境地帯。その無法地帯の実態をドキュメントした「皆殺しのバラッド」もDVD化されて久しい中、今回の映画は、国境地帯の最前線で麻薬組織カルテルとアメリカ特殊壊滅チームとの抗争劇を描いた作品です。
今回の主役たちは、最前線の任務を遂行するエミリー・ブラント演じる女性FBI捜査官と麻薬組織の内情をしるコロンビア人の検察官と麻薬組織壊滅のリーダー。
冒頭から、組織のアジトに侵入。銃撃戦の末に壁から発見される数十体の腐乱死体。アジトの爆破、街中に吊るされる見せしめの遺体、市民を巻き込む銃撃戦とリアリティあふれる危険地帯の惨状が浮き彫りになり息を呑むシーンの連続です。
容赦ないチームの行動に使命感を持ちながらも崩壊寸前の心理状態の描写や理性など無用な極限での任務の過酷さが滲み出る内容は、ゼロサーティに匹敵する評価もうなずけます。
もうひとりの主役、コロンビア検察官を演じたベニチオ・デル・トロは、この種の役所には欠かせない存在。冷酷非情な行動で任務を全うする彼の真実の目的が明かされる時、誰もが驚愕するラストが待ち受けています。
大統領選でのトランプでの発言でも知られるメキシコとアメリカの国境地帯。大きな壁を築いても、観る者が恐怖にうちひしがれる現実がここにあります。