映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は「ヒアアフター」です。
映画「ヒアアフター」は、冒頭の津波シーンが、3・11の被災者心情に配慮して上映中止になったクリントイーストウッド監督の新作です。
バカンス地で、津波に遭い、臨死体験をしたフランス人ジャーナリストの女性と兄を事故で亡くした一卵性双生児の弟、死者と交信ができること霊能者、それぞれの苦悩と希望を描いた物語です。
死語の世界をテーマにしながら、宗教的要素を排した構成は、偏見なく作品と対峙できると思います。そして、フランス人ジャーナリスト役のセシル・ドゥ・フランス、霊能者役のマット・デイモン、双子の兄弟を演じたマクラレン兄弟の自然な演技が心を揺さぶります。
特殊な能力や信じられない体験をした三人がラストで線として結びつき、幸福の一歩を踏み出す。あの時に、津波のシーンだけを捉え、公開中止を余儀なくされた映画の本来の真意がこの時期に理解できたのは、残念でならないです。
今回の3・11の影響で、この映画に偏見を持たれる人がいるかもしれません。しかし、この作品のDVDは震災の直後に全米でリリースされ、収益の一部を義捐金として寄付することを発表しています。
この作品を視聴したひとりとして、ヒアアフターは、苦悩の日々から立ち直る静かな再生のドラマとして、すべての人々に生きる勇気をもたらすと信じています。
クリントイーストウッド監督の作品インタビュー動画。作品の意図や監督として考え方。ショーン・コネリーの後のボンド役にオファーがあったエピソードが語られ、興味深い内容です。