65オヤジのスタイルブック

アドルフ・ヴェルフリ展 名古屋市美術館

アドルフ・ヴェルフリと言う画家の大回顧展が名古屋市美術館で開催中です。ほとんど、この名を知る人はアートファンでも少ないと思いますが、僕もその一人。人生のほとんどを精神病棟で過ごし、自らを空想の中の主人公として絵の中で旅をするアウトサイダーアートの巨匠だそうです。アウトサイダーアートは、フランスの画家ジャンヌ・デュビュッフェにより提唱されたアール・ブリュット(生の芸術)と言い、主に精神障害者や受刑者による作品をさします。日本では、山下清が当てはまるのではと思います。

美術館から送られてきたチラシを観た時、その細やかな画面に、古代文明の壁画を感じました。会場を訪れて略歴を見てその過酷な人生により、自らが表現する絵画に、彼の安穏の世界があることに気づかされるのですが、一方で観る者を錯乱し、彼の下僕にされるような感覚を持ちました。

彼の中に自らの神が宿り描かれた作品は、様々な形態の図案にシンボリックな生物たち、変幻自在な自画像などが緻密に計算されたように配置され、さらに画面に記された音符はバロック音楽のように荘厳な旋律を奏でられてます。そして裏には記号が全面に書かれ終わることのない詩で埋め尽くされているのです。

彼の思考の中に計算はないのに、計算つくされた完璧な導きで、観る者が彼の魔力に侵され信者となっているのだと感じました。

アドルフ・ヴェルフリと言う王の世界に足を踏み込んだら最後、会場を出るまで王の力に圧倒され、迷宮の世界に抜け出すことはできません。心して、そして必ず、未知の世界を訪れてみてください。


 


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