映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。藤井道人監督の初長編作品が「光と血」がDVD化されたので鑑賞しました。
本作は、先日公開された「新聞記者」の藤井道人監督の2017年公開され、平穏な日常が突然の事故で悲劇的な人生へと追いやられる人々の絶望からの再生を描いた作品です。
いじめられっ子を守る女子高生・光、3年の交際を経て婚約した青年・陽、被災地のボランティアに通う青年・健太と姉、幸せな日々は続くと思われたある日、レイプ、無差別連続殺人、交通事故により人生が一変します。そして加害者となった人々や家族にも、新たに被害者との接点を持った人々と共に運命が絡み合いながら物語は進んでいきます。
唐突に起こる悲劇は、誰もが予想できず、さらに今回の映画の主人公たちのように避けられない運命をもっているように、重くのしかかってきます。また、それぞれの接点がドラマとしてはとても素晴らしい構成で、被害者たちに人間としてかかわった人々の縁などが、人間の持つ業と深く関係しているように感じられる作品でした。
今回の作品は、公開まで2年を要し重いテーマをワークショップを通じて監督、出演者が深く掘り下げていったそうです。そうした行為が、無名の演者たちのよって表現され、映画の中の人々と苦しみを共有し、希望を導きだそうという思いが強くなりました。
33歳の若き映画監督が描く社会派ドラマに、これからも注目して人間の中にある善なる思いを深くしていきたいと思います。