映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、河瀬直美監督、樹木希林、永瀬正敏主演の感動作「あん」です。
叫ぶ詩人の会主宰のドリアン助川の同名小説を映画化した本作。永瀬正敏演じる「どら焼」の雇われ店長・千太郎の元に、店で働きたいと頼みに来た手の不自由な老婆・徳江から「あん」作りを教わり、店は繁盛するが、店のオーナーの反対や心ない噂により二人の運命と店を慕う女子中学生・(樹木希林の孫であり本木雅弘の娘が演じている)の運命が変わっていく、切なくも美しい感動作品です。
テーマは人生の再生を描いていますが、運命に翻弄された千太郎と徳江の異なる人生が浮き彫りになると、社会の中に深く根差した偏見と差別が観る者に大きくのしかかってきます。個人的に抱く河瀬監督の普遍的なテーマが、今回の作品ではストレートにかつシンプルに提示された感じがしました。
あえて、今回の作品にある問題には触れずないでおきます。出来るなら、前知識なくDVDを手に取って観賞してみてください。学校で、家族で、愛すると人と一緒に観てほしい作品です。