ヤマザキマザック美術館では「名古屋城からはじまる植物物語」が開催中です。
今回の企画展、ヤマザキマザック美術館ではめずらしい企画展だなと思っていましたが、会場を訪れるとなるほどと感心させられる新たな発見がありました。先ず名古屋城からはじまるに着目したいと思います。現在の名古屋城本丸御殿は、第二次大戦で全焼し、2009年から2018年の復元工事により再現されたものであることは御周知の方も多いと思います。
その本丸御殿に狩野派の絵師により施された障壁画や天井板絵は空襲の直前に取りはずれ戦災を免れ天井板絵には植物も多く描かれていたそうです。実は描かれ植物画には、壮大な歴史ロマンが秘められていました。それは、長崎出島の蘭学者シーボルトと尾張の本草学者、伊藤圭介の出会いによるものでした。
僕自身、額装で植物画の先生と出会いがあり、そのお弟子さん方と今でもお付き合いがあります。植物画の世界は、その細密描写と共に植物図鑑としての要素もあり学問的な側面も持っています。今
今回の展覧会では、シーボルトにまつわるたくさんの資料が展示され、シーボルトによる導かれた本草学者・伊藤圭介による貴重な収集品に加え、花鳥画をルーツに描かれた植物画が数多く展示されています。また、貴重な資料と共に本館所蔵アールヌーヴォーのガラス工芸が展示されていますが、実はここにも深い関係があり、シーボルトが持ち返った日本の植物の種苗が、アールヌーヴォーの代表作家・エミール・ガレに渡り大きく影響されて事実を知りジャポニスムの深い関係性を知り、植物画を学問として学ぶ機会を得ました。
名古屋には東山動植物園があります。今回の展示品の多くは東山動植物園の収集品で名古屋の植物学として深い関わりに思いを馳せながら江戸からはじまる植物画の世界を楽しんでみてはどうでしょう。