本日の映画レビューは、スコセッシ監督最新作でディカプリオ主演、デ・ニーロ共演の「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」です。
3時間28分に及ぶ長編作品は1920年代の西部劇サスペンスで、ベストセラーノンフィクション「花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生」を原作を基に制作されていますが当初は、事件を捜査したFBI捜査官を主人公に制作予定でしたがディカプリオの助言により主犯格の共犯者で甥のアーネストを主人公に替えて再構築された映画になったというエピソードがあります。
石油発掘により巨額の富を得た先住民のオーセージ族とその利権を奪おうとするロバート・デ・ニーロ演じる主犯格のウイリアムスとレオナルド・ディカプリオ演じるアーネストを中心に犯行の過程と事件解決にいたった二人の苦悩と確執を描いた作品です。
その苦悩の大きな要因となっているのが、巨万の富を得た女系家族の娘モーリーの存在。ネイティブアメリカンであるリリー・グラッドストーンは新しい家族を得た夫への愛情と彼女に徐々に魅了されるアーネストとの関係が強く印象付ける演技を持っていました。
僕自身も決して長いとは感じずデ・ニーロとディカプリオの現在地での演技を生かしたスコセッシの手腕を感じましたし、あえて犯行側から描いたことで監督作品の特色であるマイノリティーへの偏見と弾圧のアメリカ黒歴史を今の時代にあった視点にアレンジしていると感じています。
どうも原作を読んでる方の批評は辛口のようで逆に大作としてではなく、原作に忠実なミステリー色の強い作品を観てみたいなと思うので違う監督で再構築してほしいなと思います。