映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回はアカデミー賞の3部門でノミネートされた実話に基づく作品「ある女流作家の罪と罰」です。
今回の作品、アカデミー賞ノミネートされた作品なのに観たことないぞと思われた方も多いかと。僕もそう思いました。その疑問は当然です。日本未公開作品ですから。主演女優賞、助演男優賞、脚色賞の3部門にノミネートされたのも当然のすばらしい作品で、タイトルから引用すれば配給会社の20世紀フォックスの罪と罰です。
物語は、過去にベストセラーにもなった女性作家イスラエル。今は、アパートの家賃も払えないほど落ちぶれ愛猫と暮らしながら酒におぼれる日々。どん底の生活の中でお金を工面するために所有していた大好きなキャサリン・ヘプバーンの手紙を古書店に売ります。有名人のプライベートな手紙が高値で取引されていることを知った彼女は、古いタイプライターを買って有名人の手紙を偽造しはじめます。ある時、呑み友達のゲイの男性が彼女の所業を知り、金儲けのために、彼女の手助けをしますが、そこから綻びが生じていきます。
イスラエルを演じるのは、ゴーストバスターズやヴィンセントが教えてくれたことに出演していたメリッサ・マッカーシー。今までの明るい演技と打って変わって偏屈で孤独な女流作家を見事に演じています。
呑み仲間には、イギリスの名優、リチャード・E・グラントが演じ、年老いてもなお、恋とドラッグに溺れるゲイの男を演じてます。
主演女優と助演男優ノミネートにふさわしい、シリアスな演技に感嘆です。
有名人の書簡は、入手先や経路などと同時にその文書の信憑性が鑑定の材料となります。
彼女の巧妙な細工と小説家としての文才を巧みに利用しながら、プロの古書店主をだましていくのですが、その犯行が痛快で、その日を生きるためにはじめた犯罪行為が、どこか彼女の新刊執筆のように感じます。
時代に取りこぼされた女性作家が時代を翻弄する彼女の作家としての異質だけど輝く才能を感じる作品でした。