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中谷ミチコ展 三重県県立美術館

 
 
先日、三重県立美術館で開催中のデンマークデザイン展を観によりました。最近は、北欧ブームがあってか中部地方でもデンマークデザインに関連する展覧会が多数あり、今回の展覧会も見慣れた感じのもので新鮮さがなかったので復習を兼ねて鑑賞でした。次に2階の常設展示を観てから、分館の柳原義達記念館へ。そこで、とても印象的な企画展がありましたので、こちらをレポートします。
 
記念館で開催中の展覧会は、中谷ミチコ・その小さな宇宙に立つ人。中谷は現在38歳の気鋭の女流現代彫刻家です。2010年に現代美術の若手の登竜門「VOCA展」で奨励賞を受賞。現代彫刻の作家の中で注目される作家のひとりです。現在は、祖父の住んでいた三重の実家に住み、工場を改装した三重県白山町の私立大室美術館で毎年敬老の日にプロジェクトを行っています。
 
彼女の作品の特徴は、凹状に彫られた作品に樹脂を流し込んで固めた半立体の作品で、今までの彫刻の概念を打ち破る作品でとても新鮮さを感じました。今回のテーマである「その小さな宇宙に立つ人」は37歳の時に火災で大半の作品を焼失した柳原義達へのオマージュと喪失から生まれるある種の解放を謳っています。
 
今回の展覧会は柳原の代表的な作品と対峙する形で二つの空間が構成されて、一方は中谷自身の分身のような透明感のある少女たちの作品が柳原の犬の唄シリーズの石膏原型を取り囲むように壁面に配置されています。もう一方では、柳原の代表作の鴉のブロンズが中央に、その背後にはカラスが舞う中谷の壁面彫刻が配置されています。作家自身が述べているように、中谷と柳原の「わたし」と「あなた」を行き来するように、観る者も中谷との「わたし」を行き来しているような不思議な空間に出会いました。
 
今回初の大掛かりな個展となる中谷ミチコの展覧会。アートファンなら見逃せない展覧会となると思います。20世紀のデザインを楽しんだ後は、意趣独特な中谷ミチコの世界を体現してみてください。
 
 
 

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