三重県立美術館で開催中の「榊莫山展」を観賞しました。
今回の展覧会は、三重県伊賀市出身の榊莫山氏の遺志により寄贈された作品108点に個人所蔵作品も含めた回顧展です。
榊莫山と言えば、酒造メーカーのCMで、ユーモラスな風貌と奔放な書風で「バクザン先生」として人気を博し全国的に、その名を知られました。
書家として、また詩人としても僕も好きな作家のひとりです。
今回の展覧会は、回顧展にふさわしい、学生時代の作品から絵画の世界まで、莫山先生の生き様を余すところなくあらわしています。
書道三体の楷書、行書、草書には、書家としての本来の姿が見られ、その基本の上に立つ現代書は、そのバランスと構成に、絵画世界を見ることができます。
絵画の道にも進みたかった氏の絵画は、水墨画の技法と日本画の技法を重ね合わせたような独自の世界を展開され、画に加えれた言葉は詩的で、想像力がかきたてられます。
今回の展覧会で、特に印象深いのは、莫山作品が持つ「心の造形美」です。紙の上に言葉が形となって動き、その言葉が観る人の心の中に入り込んで目の前に造形が広がる。
そんな世界がこの展覧会にあふれているように感じました。