映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。第68回のカンヌ脚本賞を受賞した「或る終焉」です。
監督は、メキシコ人監督ミシェル・フランコ。主演は、海の上のピアニストやティム・ロス。ティム・ロスは今回の作品の制作総指揮を担っています。
物語は、ティム・ロス演じる看護師のデヴィッドを中心に彼の過去と三人の終末期患者の介護の日々が綴られ、三人目の女性が、自らの命を彼に託そうとした時、デヴィッドの決断に加え、その後の衝撃的な結末が待ち受けるというものです。
最初に彼がケアした患者は、おそらく実際に終末医療をうける実際の患者ではないかと思います。そして、ティムのケアの姿が、まさに現実の姿に投影され場面にくぎ付けになり、それぞれの俳優が演じる迫真の演技がリアリティーを増幅させながら進んでいきます。まさに、言葉では表しきれない説得力があり、演出など一切排除される日常に感服しました。この若き監督の未来は末恐ろしいほどの力強さを僕の胸に印象付けました。
2作目でカンヌのある視点部門でグランプリ、3作目の本作でカンヌの脚本賞を獲得した36歳の新鋭監督は、終末医療をテーマに患者と看護師の交流を淡々と描き、観る人に問いかけるような驚愕の結末を用意する、最後の結末は、それぞれに異なる答えではないかと思いますが、今でもあのラストは、何なのか、今も僕の心に残り続けています。