本年度アカデミー賞外国語作品賞を受賞した映画「別離」を鑑賞しました。
近年、注目されているイラン映画界。今回の作品も、その評価にふさわしい作品でした。
ただし、この映画を理解するためには、イランの社会情勢や文化、宗教などを理解したうえで観賞したほうがよいと思います。
内容は、娘のためにイランから出国することを決意した妻と、アルツハイマー病の父の介護のために、国内にとどまろうとする夫。
両者の意見が食い違うなか、離婚調停がうまくいかず別居することに。娘は、父と一緒に家残ることを決め、夫は父の介護のためにヘルパーを雇うことに、ヘルパーの女性は、失業中で、問題のある夫を持ち、幼い娘と連れて働くことに。さらに彼女は妊娠4ヶ月の不安定な体です。
そんななか、体調不良のなか、やむなくアルツハイマーの父を残し外出をしてしまいます。そこに夫があらわれ、激高して彼女を押し倒してしまいます。
ヘルパーの女性は、雇い主に押し倒されたこと原因で流産したと主張。殺人罪で訴えることに。彼女の流産をきっかけに、両者の家族が争うことになります。
係争中の中で、少しずつ露呈していく小さな嘘。それぞれの家族を守るために付いたはずの嘘が、思いもしない結末へと向かって行き、ラストでは、予想だにしない結末を迎えます。
そしてこの映画の別離の意味をそれぞれが考えることになる、稀にみる深い思いをはせる作品でした。