第153回芥川賞に、お笑いコンビ・ピースの又吉直樹氏が受賞しました。総じて受賞には好意的な意見が多くありました。また、芥川賞受賞者により選考されるこの賞を又吉氏が受賞したことは快挙のように思える人も多いと思いますが、過去の受賞作品でも賛否両論があったなかで、常に票をリードしたことにおいても、彼の作品が芥川賞にふさわしかったのだと思います。
また、過去の受賞者に版画家の池田満寿夫氏やミュージシャンの辻仁成がいることでも、至極当然なことであり、お笑い芸人が受賞?と言うのお笑いと言う芸能をさげすんでみている輩であり、そうした見方を、彼の受賞により変える大きな転換点ともいえます。
あまり、本を読まない僕も、芥川賞や直木賞、本屋大賞などの選考者や基準は違っていても、賞を受賞することにより、広く世に知れ渡ることは、賞の持つ功の部分であり、芸術やスポーツの分野において欠かせないものだと思います。
それを選択するか否かは、個人の自由としても、他者が受賞を通して相手を知ることは、大きな情報資源と言えます。
芸術の分野においても権威のある賞は存在します。その権威は歴史と伝統によるところが多く、その賞が存続される限り、権威と言う言葉はついて回るものです。ひょっとした書店店員により選考される本屋大賞も、年月と共に権威化するかも知れません。
しかしながら受賞者にとっては、賞の権威よりも世の中に作品が知られる入口なわけですから、権威イコール権力にならない公正な審査が存続する限りなされていると考えたほうが良いかと思います。