降旗康男監督と木村大作撮影によるヒューマンサスペンス映画「追憶」を観賞。
降旗康男と木村大作、監督と撮影の巨匠がタッグを組んだ本作、高倉健の主演作品を数多く手がけた二人が、今回、岡田准一、小栗旬、柄本佑、安藤サクラ、吉岡秀隆と若き実力俳優が勢揃いし、北陸富山を舞台に壮大なサスペンス作品を作りあげてくれました。
少年時代に起こったある事件をきっかけに離れ離れとなった親に捨てられた三人、岡田演じる刑事四方と地元で土建業を営む小栗演じる田所、東京でガラス店を営む柄本演じる川端、25年ぶりに偶然で会った四方と川端。その翌日に川端が殺害されたことにより、田所に疑念を抱く四方。過去の事件でとまった時間が動き出すというもの。
三人の少年時代の過去と現在を重ね合わせながら、三人の抱える秘密により、事件は複雑化、犯人にたどりつくまでの過程が詳細に描かれ、三人をつなぐ安藤演じる涼子と吉岡演じる光男により、サスペンスと人間ドラマが見事に融合されラストへと進みます。
過去と現在、二つの殺人事件により翻弄される三人の友の再会により生まれる疑念と悔悟を美しくも厳しい北陸の自然と共にサスペンスの中に叙情的な空気を漂わせた名作がまた生まれたように感じました。今年の日本映画の代表作のひとつに数えられる作品だと思います。
