名古屋市美術館で開催中の「ベン・シャーン クロスメディア・アーティスト」を観賞しました。
ベン・シャーンは、アメリカを代表する画家ですが、一般には、なじみのない画家でしょう。
しかも、今回の展覧会は1990年以来、約20年ぶりの回顧展です。茶々丸オヤジ自身も、その全貌はあまり知りませんでした。
ポップアートの台頭が著しいアメリカで、ベン・シャーンのような社会派アーティストの存在が広く知れわたることのないのも仕方ないことですが、彼の作品や行動を知るに付け、今の時代に最も注視すべきアーティストであることを認識しました。
ユダヤ人家庭に生まれ、家族と迫害を逃れアメリカに移住した彼が、その後に冤罪事件を告発する作品を発表し、普通の人々の日常を描き続けた彼は、まさに大衆と共に行き続けた画家といえるのではないかと、作品の数々を鑑賞しながら感じました。
展示方法も、日常にアートがかかわってくるような趣向が凝らされ楽しめました。そして、彼の代表作でもあり、日本での深い関わりを感じる、ビキニ環礁での水爆実験により被爆事故の「第五福竜丸事件」をテーマにした、ラッキードラゴンシリーズが、今ある日本への警鐘に映りました。
今、日本でこの展覧会が開催される意義は大きいと思います。この機会に、べン・シャーンの実像に触れてみてください。きっと何かを感じ取れると思います。
3月25日まで、名古屋市美術館で開催。その後、岡山県立美術館。福島県立美術館を巡回。