映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。カンヌ映画祭で審査員賞を受賞した異色のラブロマンス「ロブスター」です。
本作が、異色であることは様々な視点で語ることができるのですが、先ずストリー性が独特な点が挙げられます。権力者の支配による従属する市民は、独身は罪というモラルの基に生活をし、独身者は、ある施設で45日以内にパートナーを見つけなけらば、狩の標的となり、捕まると動物にされてしまう奇想天外な内容です。
主人公のコリン・ファレル演じる男は、偽りのパートナ―を見つけ施設から出るも、その嘘がばれ脱走。そこで、レア・セドー演じる独身者の反権力者のグループに加わりますが、異性との恋愛や接触を禁じた独自のルールのもとで支配され、そこで出会い恋に落ちる女性とグループからの脱走を図ります。
誰も笑わない無表情の社会で起こるルールに支配された不条理な行為は稚拙で冷酷。生き延びるためのパートナー関係は虚しく感じる。今まで味わったことのない笑いのないコメディー作品として進んでいきます。
カンヌをはじめ、インディペンデンス系の映画祭で評価の高いギリシャ人監督のヨルゴス・ランティモスは、今回の映画が初の英語作品ですが、ハリウッドをはじめヨ―ロッパを代表する老若男女の実力俳優の競演と都会と森の対比が印象的なアイルランドでのロケに、監督の独創的な発想が加わって、見応えのある美しくも残酷な世界を皮肉る素晴らしい作品だなと感じました。