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65オヤジのスタイルブック

比目魚・坂本幸重

 ○1995年の東京絵画まつりの出品作の比目魚。
  比目魚とは高級魚のひらめの別名。

毎月の美術交換会で、思わぬ掘り出し物に出会う時がある。
先日も、現在日展会員の実力作家である坂本幸重氏の作品と出会い落札した。
僕は、氏が1991年に日本画壇の人気作家の登竜門的存在だった山種美術館大賞展で大賞を受賞されてからの熱烈なファンでもある。

画商としていつかは氏の作品を扱いたいと思い焦がれて25年にして巡り合った。
地方の画商にとって、中央で活躍する作家を取り扱うことは難しい。
まして、冬の時代で新作を扱う画商はひとにぎりの存在だ。

大半は作家の前作を交換会で競り落として売るのが現状。
そんな時代だから、偶然にも出会えたかも知れない。

氏の作品は、新聞紙をバックにした魚の作品が特徴で、その新聞紙も本物と見間違うほどに細かく描かれ、作者の祈りとも言うべきメッセージが込められている。
決して派手さはないが、新聞紙の繊細な作業と迫力のある魚の姿の対比が絶妙だ。

一般受けしない構図であるのでお客様に勧めにくい作風だが、最近好意にしていただいているお客様に気に入っていただいた。

こうして、僕の25年間の片思いの相手は嫁いで行ったのだが、お正月を前におめでたいヒラメは新年に輝きを増すことだろう。

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