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映画 ウインド・リバー

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第70回カンヌ国際映画祭ある視点部門で監督賞を受賞作品「ウインド・リバー」を観賞

ボーダーラインの脚本家テイラー・シェリダンの初監督作品となる本作。ボーダーラインの灼熱のメキシコ国境地域とは真逆の極寒地域に住むネイティブ・アメリカンの先住民とそこで働く出稼ぎ労働者、先住民との絆を持つ白人ハンターを取り巻くクライムサスペンス作品です。

主演は、ハートロッカー、アベンジャーシリーズのジェレミー・レナ―がハンター役を、同じくアベンジャーシリーズのエリザベス・オルセンが女性FBI捜査官を演じています。

雪深いネイティブアメリカンの保留地の雪深い山岳地帯で、少女の凍死体が発見されます。その状況から殺人事件の疑いがあり、捜査未経験の女性FBI捜査官ナタリーが派遣され、保留地で野生動物から家畜を守るハンターのコリー・ランバートが捜査の協力を依頼されます。

少女は、コリーの友人の家族の娘、捜査が進む中で、変死体となって発見されたコリーの娘との共通項が導き出され、鍵を握る男たちが捜査線上に浮かびあがってきます。

作品の大半は、極寒の地で進む地道な捜査と過酷な環境に隔離されるように住むネイティブアメリカンの人々の保留地とは名ばかりの劣悪な生活、そして、通常の犯罪捜査も行われない中で次々と起こる少女の失踪事件の過去との関わりが徐々に姿を現し行ていきます。

そして、突然起こる衝撃のクライマックスシーンに誰もが度肝を抜かれ、怒りと復讐の炎が燃え上がります。向けられる怒りが、これほどまでに鮮明となる作品は少ないと思います。

植民地化により、常に保護の建前で隔離される先住民、奪う者の醜さと弱さ、奪われる者の清らかさと強さ、両者の関係は、表面的には上下に差があっても、精神的にも肉体的にも大きな格差があることを突き付けられ、奪われる者の側に立ち絆を持った、一人の男による明らかになる。闇の中にある光明が報いとなる重い意味を持つ作品でした。

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