松坂屋美術館で開催中の「観世宗家展」を観賞。
能と言うと、格式の高い舞台芸術として、また、薪能などからは、闇の中で静かな舞われる幽玄な世界や高砂などの祝詞としての印象を持ちます。
舞台芸能としての古典芸能には、さまざまな種類があり、日本最古の雅楽に神楽、能と狂言による能楽、人形浄瑠璃にお文楽、歌舞伎などがあります。現代に置き換えると雅楽が現代舞踊、能がミュージカル、狂言が漫才、歌舞伎がストリートパフォーマンスと言えるでしょう。
今回の展覧会は、室町時代に観阿弥、世阿弥親子により創建された680年に及ぶ能楽を装束と能面にスポットをあて、視覚的に能の世界を表現しています。
能の世界は、猿楽と狂言を一にした現在の能楽とされているそうで、今回は、その猿楽の世界にあたります。今では、野村萬斎などの狂言師が注目されていますが、現在の能は、観阿弥、世阿弥により確立され、世阿弥は、風姿花伝により芸能を書物として初めて表しました。
室町から江戸へと時の権力者に愛されてきた観世宗家の能楽の世界。一般的な印象として、能面に美しい装束を身に着け、静的な舞の印象があります。数々の能と装束を見ると、その幽玄な世界が伝わり、能の奥深さを感じました。