集注本には、軍の字を除いて形と云い、形篇なり。
形はかたちとよむ。内にかくる所を情と云い、
外に現れるところを形と云い、ゆえに形は情の
著われるなりとも注せり、
是勝負のきっかけなり、謀浅きものは形現れ
見やすく、謀深きは形隠れてみがたし、
この形を察して其の情を取る時は、
敵に勝つことを掌に握るが如し、この篇は
敵にはかり伺われぬ様にすることを説けり、
是形の至極なり、
吾が形見ゆるときは、敵其の形に因て是を察して
勝利をとる。吾が形見えざるときは、
敵われをはかる事は能わず、
吾は敵の形を形を察して是に勝つなり、
しかと云えば、城郭にこもり、或いは山林に
引き入れて影をことではなく、只吾が形を
敵にしられぬ様にすることなり、
陣を張り備を立てる其の形は、目あるもの
見ずと云うことなし、是この篇に云える形に
非ず、陣を張り備を立てる上において、
其の内に隠れたるてだての、外に現れる所を
形の見ゆると云う、外へ知られぬを形の見えぬ
と云う、されば形は勝負のきっかけにて
其の形の見えざるを形の至極とするなり、
さて謀攻篇の次にこの篇を置く事、
謀をもって敵を攻めるというは
戦わずして敵に勝つ道なり、されども
敵に智愚強弱ありて、一向に戦わずにして
勝つべきに非ず、既に戦を用いるに至りては、
形と勢と戦の先務なるゆえ、
この篇に形を云いて次の篇に勢を設けるなり。
〔孫子 軍勢第四〕
形はかたちとよむ。内にかくる所を情と云い、
外に現れるところを形と云い、ゆえに形は情の
著われるなりとも注せり、
是勝負のきっかけなり、謀浅きものは形現れ
見やすく、謀深きは形隠れてみがたし、
この形を察して其の情を取る時は、
敵に勝つことを掌に握るが如し、この篇は
敵にはかり伺われぬ様にすることを説けり、
是形の至極なり、
吾が形見ゆるときは、敵其の形に因て是を察して
勝利をとる。吾が形見えざるときは、
敵われをはかる事は能わず、
吾は敵の形を形を察して是に勝つなり、
しかと云えば、城郭にこもり、或いは山林に
引き入れて影をことではなく、只吾が形を
敵にしられぬ様にすることなり、
陣を張り備を立てる其の形は、目あるもの
見ずと云うことなし、是この篇に云える形に
非ず、陣を張り備を立てる上において、
其の内に隠れたるてだての、外に現れる所を
形の見ゆると云う、外へ知られぬを形の見えぬ
と云う、されば形は勝負のきっかけにて
其の形の見えざるを形の至極とするなり、
さて謀攻篇の次にこの篇を置く事、
謀をもって敵を攻めるというは
戦わずして敵に勝つ道なり、されども
敵に智愚強弱ありて、一向に戦わずにして
勝つべきに非ず、既に戦を用いるに至りては、
形と勢と戦の先務なるゆえ、
この篇に形を云いて次の篇に勢を設けるなり。
〔孫子 軍勢第四〕