まるで、秋のスイッチが入ったかのように涼しくなった。
暑さ寒さも彼岸まで、とはよく言ったもの。
ようやくエアコンなしで眠れそうだ。
実家のプランターに彼岸花の球根が埋まっていて、毎年この時期に花を咲かせる。
家族の誰かが植えたわけでもなく、気がついたら毎年咲くようになった。
どんなに猛暑が続こうが、不思議なことに開花の時期は極めて正確なのだ。
昔は家族と行っていた墓参りも今はひとり。
母が昔のように歩けなくなってからなので、もう5年くらいになる。
花を買って線香を持ち、お盆と年の瀬、お彼岸と祖母の命日に寺に向かう。
行き交う人と挨拶をかわし、掃除をして、花を活け、線香を手向けて手を合わせた。
特別信心深い方ではないが、このときばかかりは妙に落ち着いた気分になる。
故人の冥福を祈るのが本来の姿かもしれないが、私は残されて生きる者の平穏を願う。
時には恨み言もつぶやいてみたりする。
正しくはないかもしれないけれど、私なりの墓参り。
次は年の瀬。
一年の終わりぐらいは母も誘ってみようか。