遠野の5人目、DF太田代飛鳥が決めた。その瞬間、土井秀徒は遠高生の歓声の中でひとり悔しさを押し殺していた。
「今年もか」
サッカーの神はどこまで残酷なのだろう。わたしが盛商の立場だったら神を呪ったに違いない。
思えば去年も盛岡市立との決戦はPKにもつれ込んだ。あのときは市立先攻のPK、しかし盛商2人目の藤村慶太、3人目の上野翔矢(土井と同じ横浜栄FC出身)が市立のGKに阻まれ、4人目盛合龍也のキックがバーに嫌われたところで盛商は負けたのだ。
この日は盛商の先攻。1人目は藤村慶太、しかし遠野GK佐々木渉太に止められてしまった。
土井の脳裏には去年のことがよぎったに違いない。だが同じ轍を踏まないために自分もゴールを死守しなければならない。
遠野のトップはFW山本恭平。土井はボールが右に流れると読み、ダイブを試みる。しかし山本のシュートはそれを超えてゴールへ。
その後盛商は2人目上野、3人目の1年生花坂直人、4人目で登場した谷村憲一(今年のU16代表候補、残念ながら本戦代表は逃す)と決める。だが土井は遠野の繰り出す選手たちにゴールを割られてしまう。
そして5人目、盛商の佐々木文弥が失敗即敗北のプレッシャーの中しっかりと決めた。その次が冒頭の太田代飛鳥のPKである。
土井は長い助走をとる太田代を警戒した。しかし太田代は土井が左に飛ぼうとしたところ、左足で右側に決めた。もしこれがPKでなかったら、多分土井はすぐにでもボールを抱きしめていただろう。そんなグラウンダーの球だった。
土井の魅力といえば高い守備のキャプテンシー、それにGKの範囲の広さ。
後者について言うと、エリアの外に出てまで処理するプレー(ここで下手するとハンドリングもある)はなかなかだと思う。ただそこでの察知能力がPKで生かされなかったのが残念な限り。
彼は横浜栄FC、ということはおそらく横浜「帰郷」ということも考えられる。
幸いなことに横浜近郊には関東大学リーグ所属校が多い。1部は神奈川、2部は桐蔭横浜に関東学院など…GKというポジション柄厳しいかもしれないが、努力と運があれば正GKも夢ではないはず。
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