世の中には鉄道好きが多く、所謂「鉄ちゃん」と呼ばれる人たちがいる。好みが細分化されていて、乗車を楽しむ「乗り鉄」、写真を撮る「撮り鉄」、時刻表マニア、切符のコレクター、駅弁好き等々、色々な楽しみ方があるようだ。かく言う私は「鉄ちゃん」ではないが、新しい物好きであり、すぐに試してみたくなる性質である。
私がバンコク初心者だった20年前は、BTS(Bangkok mass Transit System)が2路線しかなく、しかもスクムウィット線はモーチット-オンヌット間の17駅、シーロム線は国立競技場-タークシン橋間の7駅しかなかった。今ではスクムウィット線は南北に延伸して47駅、シーロム線もチャオプラヤ川を越えて14駅あるし、短いがゴールドラインという新規路線も開通した。加えてMRT(Mass Rapid Transport)が登場し、地下鉄環状線とも言えるブルーラインを始め、パープルライン、イエローライン、ピンクラインが走っている。さらなる新線の計画も複数進行中で、もう何年かすると、バンコク都内には渋滞知らずの交通路線が網の目のように張り巡らされることだろう。
さて、これらの路線のうちイエローラインとピンクラインがモノレールである。モノレールと言うと、恥ずかしながら羽田空港と浜松町を繋ぐ東京モノレールしか乗ったことがなく、密かな憧れがあって、乗車機会を待っていた。2月になってスワンナプーム空港にゴルフ友達を迎えに行くことになり、イエローラインとエアポートリンクがフアマーク駅で乗り換え可能らしいことから、利用してみることにした。これまではBTSパヤータイ駅でエアポートリンクに乗り換えるか、BTSアソーク駅から地下鉄とエアポートリンクを乗り継ぐ選択肢しかなかったので、時間的にも料金的にも便利になるかもしれないとの期待もあった。
まずはBTSのサムローン駅で下車し、イエローラインのサムローン駅へ。駅間の移動は距離もなく、スムーズ。MRTなのにBTSのラビットカードで自動改札を通る。待つほどもなく黄色いストライプの入ったスマートでピカピカの4両編成の車両がやってきた。新しいものを体験する時は、年甲斐もなく気持ちが高揚する(苦笑)。
車内に足を踏み入れると、とても広く感じる。座席数が極めて少ないせいだろう。サムローン駅は始発駅だけに、かろうじて座席を確保できたが、途中から乗車してくる客はまず立つことになる。フアマーク駅までは12駅26分45バーツ(約190円)の旅。高い所を走るので、景色は楽しめる。無人自動運転がセールスポイントなのだが、走行中はキイキイと摩擦音があり、日本だったらクレームが出そうな振動も感じる。車両が安かろう悪かろうの中国製だからなのかはわからないが、お世辞にも快適な乗り心地とは言えず残念至極。後で調べたら、開通早々にタイヤの落下事故があったらしい。さらに問題なのはフアマーク駅での乗り換え。暑い中、歩道橋を渡り、踏切を越え、徒歩でたっぷり10分はかかった。手ぶらだからいいようなものの、これでスーツケースなどの大型手荷物を持っていたら気力が萎える距離である。
結局、最寄り駅からスワンナプーム空港までは所要時間約1時間半、85バーツ。料金的には安く上がったが、乗り換えの快適さを考えると、お勧めはできないという悲しい結論になってしまった。
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