バンコクでロングステイ始めました!

バンコクロングステイのあれこれを記録代わりに記事にしています。

アユタヤで象に乗る

2025-01-30 15:50:01 | ロングステイ

正月を迎えて静かに酒を飲んでいると、幸若舞「敦盛」の有名な一節である「人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり」がふと頭に浮かんできた。人間界の50年なんぞ天界のたった一日であり、それからすると人生は一夜の短い夢や幻のようなものだ、という大意である。確かに儚いのだが、私にとってはたった一度の大事な人生であり、でき得れば最期の瞬間まで意義あるものにしたいものだ。そこで、昨年初めて体験したものについて、つらつらと思いを巡らせてみた。それがアユタヤでの象乗りと、チャオプラヤー川を渡し船で渡ったバーンカチャオでの染め物である。

記憶を辿ると、子供の頃、隣り町にある小さな動物園兼遊園地にインドゾウが飼われていたことを覚えている。国鉄に一駅乗らねばならなかったので、当時象を見るのは、我が家にとって一日がかりの行楽であった。それでも象は物語や童謡、テレビにも出てくるので、アフリカゾウは耳も牙も大きいこと、インドゾウは穏やかで人間の役に立つことは、子供ながらに知っていた。さらには、戦争の犠牲になった上野動物園の花子の物語には、涙を流したことも覚えている。

しかし、鼻を突きだされておねだりをされたことはあるが、象に乗ったことは今まで一度もなかった。これまでに乗ったことがある最大の動物と言えば馬でしかないのだが、それでも鞍上は思いの外高く、そこから眺める風景はとても新鮮であった。根っからの無精者ゆえ、バンコクに居ても腰が重かったが、妹夫婦のアユタヤ観光に付き合うことになり、象に乗るチャンスが突然転がり込んで来た。申し込んだパンダバスの半日ツアーには、10分間の象乗り体験が含まれていたのである。調べてみると、アユタヤには象乗りが体験できる施設として、エレファントキャンプとエレファントビレッジの二つがあるようだ。10分だから、ちょっとその辺を一回りしてくるだけだが、それでも子供の頃を思い出して、遠足気分で当日を迎えた。

アユタヤ遺跡に到着すると、すでに何頭かの象が、お客さんを乗せて道路を歩いており、気分が高揚する。近くまで寄ると、見上げるほどに高い。いったいどうやって乗るのだろうか?はしごをかけて乗るのかと予想したが、そうではなく、象の背中と同じ高さのボーディングブリッジの階段を上がり、横付けした象の座席に水平移動する仕組みであった。馬は基本背中に跨る一人乗りだが、象は背中を挟んで左右に一人ずつ乗る二人乗り。加えて、象使いが頭に座るので、都合人間3人と座席を載せて歩くことになる。やはり、やさしくて力持ちである。耳がハンドルの役目を担っていて、象使いが左右の耳を蹴って進む方向を指示する。我々乗客の目の位置は、地上3mを越えるのではないだろうか。足裏から伝わるごつごつした背中の感触と、座席の揺れが新鮮だった。

ところで、ツアーガイドによると、一人200バーツ追加すれば、騎乗時間が10分増えて20分になり、さらに象が川の中に入って歩くとのことだ。この話から単純計算すると、象の時給は2,400バーツ(約11,000円)となる。まあ、60分間フル稼働する訳ではないし、食費やら諸経費やらもあるから、あくまでも目安だが、象さんは思いの外高給取りであった。

 

 

 


タイ語の勉強方法

2025-01-08 21:07:47 | ロングステイ

令和7年の正月を迎えて、また一つ歳を重ねてしまった。東京は寒く、2日前には冷たい雨が降り、半袖で過ごせるバンコクに早く戻りたいとの思いが募る。チュラ大文学部CTFL(Centre for Thai as a Foreign Language)のタイ語講座をドキドキしながら受講し始めたのが、ちょうど昨年の今頃だ。1年かけて初級(レベル1~3)を卒業できたので、今年は中級(レベル4~6)を頑張る計画だ。すでに3月から始まるレベル4に申し込んであるので、2月下旬に再び渡航するのだが、あと2カ月はいかにも長い。かと言って、寒さに震えながら芋焼酎のお湯割りをちびちびやっているだけでは、授業が始まった途端にドロップアウト必至なので、師走に入った辺りからレベル3の復習に着手した。

タイ語の効率的な勉強方法と言っても、おいそれと近道なんぞ無いことは、重々承知しているが、11月にバンコクを離れる際に、挨拶とお礼を兼ねて、敬愛するワンラパー先生に尋ねてみたところ、「とにかく、たくさん聴いて、たくさん書くことね。そして、間違いを修正したら、もう一度聴くこと。」という餞別をいただいた。「聴く」であって、「聞く」ではないことがポイントだ。youtube等の所謂聞き流しは気休め程度にしかならず、集中して聴くことで、母音、子音、声調を区別できるようになり、実際に手を動かして書くことで、綴りの規則や特殊事例の理解が進むと言うのが、先生の持論である。ワンラパー先生は、物事の本質をストレートに指摘する昔気質の先生で、これを苦手とする生徒もいるが、私にとっては信頼に値する先生だ。そういえば、同じ位好きなシャンペーン先生も、授業中に手書きの重要性を説いていたっけ。

さて、チュラ大のIntensive Thaiプログラムの良いところの一つは、テキストの音声ファイルを惜しげもなく提供してくれることだ。スマートフォンに落とし込めば、好きな所で行きつ戻りつ何回も繰り返し再生することができる。レベル3の教科書は、8章100ページと薄いのだが、これをワンラパー方式でやると、一日に3時間ほど費やして、2-3ページ進むのがやっとだ。まずは5-10行の例文をそのまま書き写しながら、頭の中で日本語に訳す。次に覚えるべき単語と熟語を抜き出してリスト化する。これを終えた後で、例文の音源を聴き、書き取りをやる。当然1回でできる訳はなく、聴き取れなかった部分は空欄にし、そこだけ2回、3回と聴いて埋めていく。どうしてもわからない箇所は、カタカナで音を表記する。例文と突き合わせて間違いをチェックし、最後に正解を見ながらもう一度聴き直す。骨も折れる作業な上に、一つの例文につき間違いが20箇所はあるので、心も折れる。

語学力の向上は不連続であり、なかなか実感できるものではない。ある時、「あ、わかるようになってる!」と突然感じるものだ。その日が来るのを楽しみにして、あと5章頑張ってみようっと。


小さなお店番

2024-12-24 18:18:47 | ロングステイ

中国の武漢に端を発したCOVID-19は、中国政府の失敗により、瞬く間に国境を越えて世界中へと拡散し、多くの感染者と死者を出したばかりではなく、各国の経済にも甚大な被害を与えた。国を跨ぐ移動が厳しく制限されて、おいそれと海外旅行や出張ができなくなり、私が再びスワンナプーム空港に降り立つことができたのは、PCR検査に基く非感染証明書を条件として、現地でのホテル隔離が1日に短縮されてからだった。確か2021年の12月のことだが、1年9か月ぶりに訪れたバンコクの街の様変わりに驚いたものだ。休業の貼紙をした店舗が目につき、露店はすっかり姿を消していた。私にとって痛かったのは、よく通っていたスラウォン通りのサリカマッサージが先の見えない休業に入ったこと、そして同じく馴染のマンゴー屋台がなくなってしまったことだ。

特に、このマンゴー屋台のおばさん店主とは、前を通ればお互いに声をかけて挨拶をするし、大好きなデザートの糯米マンゴー(カオニアオ マムアン)を買えば、いつもパックがはち切れるくらいのオマケをしてくれた仲だっただけに、何とも言えぬ寂しい思いが込み上げてきた。観光ガイドブック的には、BTS(高架鉄道)トンロー駅近くのマンゴー専門店「メーワーリー」が有名だが、量も価格も接客もこの愛する無名の屋台には遠く及ばず、私としては絶対に失いたくないお店であった。COVID-19が収束すれば、また会えるかもしれないと、一縷の望みをかけていたが、サリカマッサージが営業を再開しても、マンゴー屋台の行方は漠として知れず、心にぽっかり空いた穴を埋めることはできなかった。

しかし、幸せは忘れた頃にやってくる。この10月に同じ場所で5年半振りの予期せぬ再会を果たすことができた。おばさんも私を覚えていて、「どうしていたの?」と、しばし会話が弾み、嬉しかった私は、100バーツの糯米マンゴー大盛に加えて、スイカシェイク(テンモーパン)まで買ってしまった。会えなかった時間はとても長く、店にも変化があったようだ。一つは大きくなった娘さんがお店を手伝っていたこと。初々しく、まだマンゴーの皮むきが上手くできずに、シェイクを担当しているが、一緒に働くお母さんはとても嬉しそうだ。そしてもう一つは、集客係としてこのコモンマーモセットが加わったことである。あまりにおチビちゃんなので、見落としたり、ぬいぐるみと間違えてしまいそうだ。普段は屋台の梁にぶら下げられたポーチの中から顔を出しているが、狙ったお客さんが来ると、こうしてスイカの上に乗ったりして愛嬌を振りまく。おとなしくて撮影もOKだから、スマートフォン片手のお客さんで黒山の人だかりができる。もちろん、写真や動画を撮ったお客さんが手ぶらで帰れるハズがない。良心的なお客さんは、モデル代にと何かしらの果物を買うことになる。このコモンマーモセット、働く時間は短いが、スゴ腕のセールスレディなのであった。いや、ここはスカウトしたおばさんを称えるべきかな。


ソンブーン名物プーパッポンカリー

2024-12-11 15:31:41 | ロングステイ

ゴルフ友達が日本から遊びに来てくれるのは、とても嬉しいものだが、「アイツに任せておけば間違いはない」と、全て私任せになるので、一週間のフルアテンドは大仕事である。しかし、頼りにされていると思えば、悪い気はしないので、彼らを唸らせるべく、ゴルフコースの選定はもちろんのこと、毎日の食事についても、腕によりをかけてプランを練ることになる。

昨今の円安と物価高のダブルパンチで、タイゴルフ旅行にもそこそこの費用がかかるようになり、何でもかんでも贅沢をすることは叶わなくなってきた。そこで、お金の使い方にメリハリを付け、ホテル代と食費を抑える分、良いゴルフ場に予算を注ぎ込むようにしている。極端な話、昼間はゴルフで、夜は寝るだけだから、コストパフォーマンスの良い三ツ星程度のホテルで十分なのだ。また、食費を抑えると言っても、決して質や味を落とす訳ではない。バンコクには安くて美味いタイ料理や中華料理がたくさんある。そこで、ホテルにほど近いサムヤーン界隈やシーロム界隈にあり、自信を持って紹介できるローカル店を何軒かプランに組み入れている。例えば、家鴨焼きが美味い「ソイ6ポーチャナー」とか中華全般の「北京餐館」とかタイ料理の「トンカーオ」などである。お腹一杯食べて、ゴルフ談義を肴に冷たいビールを飲んで、多少のチップを渡しても、一人400バーツ(約1800円)程度で済むというものだ。

しかし、そうはいっても、毎日タイ料理では皆さん次第に飽きてくる。そこで、食事にもメリハリを付け、最後の夜は、奮発して豪華にシーフードを楽しむのが恒例だ。幸い、ホテル近くには、スラウォンとサムヤ―ンにソンブーンがある。ソンブーンはどのガイドブックにも載っている有名店であり、その象徴的なメニューがこれまた有名なカニのカレー粉炒め(プーパッポンカリー)である。このプーパッポンカリーはソンブーン発祥であり、元々は賄い用に開発された一品だったが、お客さんにも好評を博し、ソンブーンを代表する名物料理にまで一気に上り詰めてしまった、と言う話を聞いたことがある。タイが初めての観光客であれば、一度は食べてみたいと思うだろう。

このプーパッポンカリー、実は殻付きと殻なしの2種類がある。写真映えするのは殻付きであり、ビギナー向けにはこちらをお勧めするが、食べにくいのが難点。蟹の身だけを使った殻なしの方が断然食べやすい。手間賃の分値段が心持ち高くなるけれど、リピーターには殻なしが良いだろう。注文の際に「ヌア(身)プー(蟹)」と言えば、殻なしが出てくる。

バンコクの海鮮料理を語る際に、欠かすことのできないソンブーンのプーパッポンカリー、私にとっては些か油がキツい。他の店では、カレー粉の色が勝った黄色であることが多く、完食することができるのだが、ソンブーンは油と玉子にまみれた橙色である。案の定、ゴルフ仲間は、我先にと箸をつけて「美味い!」と口を揃えたのだが、円卓に最後まで残っていたのもプーパッポンカリーであった。

 


チュラ大の看板犬ホイトート君

2024-12-02 15:00:00 | ロングステイ

私は断然犬派であるが、世の中には猫派も多い。チュラ大の直近のクラスメイト(レベル3)は11名いたのだが、犬派は私とミーナの2名だけで、女子を中心に猫派が席捲していた。先生も猫派であり、特に大学院を出たばかりの若いピム先生は、授業中に自分の飼い猫がいかに可愛いらしいか、写真付きで紹介していたくらいである。ある時、英語のbecauseに相当する単語(プロッ、โพราะ)を使った文章を作りなさい、という演習があり、「私は猫より犬の方がずっと好きです。何故なら犬は猫より賢いからです。」と答えたら、ピム先生の顔が曇ってしまった。まあ、シャム猫という種類の猫が居るくらいだから、タイ人の猫好きは半端ではないのだろう。脱線するが、タイ人は、昔の国名である「シャム」という言葉に好感を持っていないので、タイでは声高に連呼しない方が良い。音は似ているが、「サイアム」や「サヤーム」はOKである。シャム猫の英語表記はサイアミーズであり、タイ語になると、黄金の稲妻を意味するウィチアンマートという洒落た名前になる。

話を戻すと、犬派の私の家には柴犬がいて、膝の上に乗せて毛繕いをし、思う存分愛でるのを日課としていた。バンコクロングステイの最大の不満は、このモフモフができないことにある。今回は133日間の滞在だったが、最後は帰国日を指折り数える始末であり、玄関にまで迎えに出てきた犬を万感の想いで抱きしめたのであった。そんな私の心の隙間を、バンコクで少しでも埋めてくれたのが、チュラ大の看板犬ホイトート(貝のお好み焼き)君である。彼に会うには、スクールバスの起点かつ終点であるサーラープラキアオにある半地下のブックストアに行けばよい。ここはブックストアと言いながら、本だけでなく、文房具やユニバーシティグッズ、制服、菓子など、色々な物を取り揃えているので、普段からよくお世話になる店だ。ホイトート君は、ここの冷房の効いたレジ付近で、横になっているのが常である。推定年齢は10歳、まだまだ老け込む歳ではないのだが、私はこの犬が歩いているのを見たことがない。まるで寝るのがボクの仕事とでも言わんばかりで、いつ行っても気持ち良く寝ているのだ。また、とてもおとなしく、私は彼の鳴き声も聞いたことがない。タイ語における犬の鳴き声は、「ワンワン」ではなく、「ホンホン」なのだが、彼の声は謎に包まれたままだ。彼の存在は、すっかりブックストアの一部になっており、その緩さ加減は絶妙である。

最近、ホイトート君にはファンクラブというか後援会ができた。もしかしたら、生きていくために、彼が自分で組織したのかも知れない。来年もチュラ大で中級タイ語(レベル4〜6)を学ぶので、2月に再渡航したら、何はさておき後援会員の一人になるつもりだ。