昨日は第91回日本ダービーが行われ、スローペースの中、ダノンデザイルが先行策から直線インを突き抜けて優勝したが、私は同じ3枠のコスモキュランダの方を狙っていたので、馬券は的中したものの複雑な思いでクラブハウスの歓談スペースにあるテレビ画面を見つめていた。このレースに勝った横山(典)騎手は56歳であり、武豊騎手の持つダービー最年長勝利記録を更新したそうだ。その昔、私が競馬に熱中していた頃、彼はまだ中学生であり、デビューさえしていなかったのだなあと感慨に耽っていたところ、唐突に競馬場にあるゴルフコースを思い出した。かつての阪神競馬場には、内馬場にショートコースがあり、障害コースを横切ってプレーする人たちがいて、とても珍しい光景だった。社会人になってからは、フランクフルトで出張の息抜きにプレーしたゴルフコースが競馬場の中にあり、到着して驚くとともに、刈り込まれていない枯草に苦戦したことを覚えている。
さて本題に入るが、私の知る限り、タイではチェンマイに1コース、バンコクに2コース、競馬場の中のゴルフコースがありました。このうちチェンマイにあるランナーは、27ホールのうち競馬場が絡むのはCourse 3の9ホールで、トラック内に6ホール、外側に3ホールあり、見ての通り長閑でコンディションはいま一つですが、立派なパー36。一方、バンコクのロイヤルバンコクスポーツクラブと今は亡きロイヤルデュシットは、18ホールの全てが競馬場の敷地内にある本格バージョン。パーはそれぞれ66と65で、パー5のロングホールだってあります。中には馬場を横切って打っていくホールもあり、とてもスリリング。ロイヤルデュシットには、芝コースに落ちたらノーペナ救済、さらに内側のダートコースに入ったらワンペナというローカルルールがありました。また、バックストレッチにあった8番394ヤードパー5では、「狭いからアイアンでティーショットしたら?」というキャディさんの制止を振り切って、バフィで打ったら左側の木とフェンスを越えてしまい、クルマの行き交う一般道路に着弾して冷や汗をかいたことが忘れられません。
タイ好きのゴルファーであれば、競馬場にあるコースと空港にあるコースは、話のネタとして一度はプレーしてみることをお勧めします。私はロイヤルバンコクスポーツクラブでプレーしたことがないので、是非にと思ってはいるのですが、これがタイで1,2を争う超難関なのです。厳格なメンバーシップ制度を敷いており、ビジターの単独プレーは不可。メンバーに同伴していただく必要があります。そして、このメンバーになるのもこれまた大変。お金さえ積めばOKというものではありません。同じ場所にあって誰でも入れる競馬場と選ばれた人だけのゴルフ場、まるでタイ社会の縮図のようです。暮れ始めたBTSラーチャダムリ駅のホームから眺めるこの近くて遠いゴルフ場は、私の憧れでもあり、ため息の源でもあるのです。