バンコクでロングステイ始めました!

バンコクロングステイのあれこれを記録代わりに記事にしています。

床屋デビュー

2024-07-28 09:20:00 | ロングステイ

チュラ大のタイ語講座Intensive Thai レベル2の3/4が終わり、タイ文字の読み書き発音から、短い会話文を読んでその意味を把握する課程に入っている。喫茶店、フィットネスジム、家族の集まり等のテーマで、一日教科書1章分(5〜6ページ)が3時間かけて解説される。授業だけで理解できるほど優秀ではないので、老骨に鞭打って、毎日予習に3時間、宿題に1時間を費やしている。つまり、1日7時間はタイ語漬けになっているという訳だ。

この生活を4週間続けていると流石に疲れてくる。身体の方も、少ない頭髪が伸びてカールし、鬱陶しくなってきた。前回は渡航直前に近所の床屋で髪を短くしてもらったので、帰国までどうと言うことはなかったが、今回4か月はいるのでそうもいかない。タイ語の実戦を兼ねて、最寄駅近くのソイ(小さな通り)にある床屋に行くことにした。バンコクで初めての床屋デビューである。

店の前でしばしタイ文字を眺めていると、看板にあるのが店の名前で「チュター バーバー」、ガラスに書かれている赤い文字が、「男性向け理髪店」とわかった。その下が料金で、大人150バーツ、大きい子供100-120バーツ、小さな子供70-80バーツ。一番下の長い文字を読み取る前に、店のおばちゃんから手招きされてしまったので、全文解読にまでは至らなかったが、これが勉強の成果かと、ちょっと嬉しい瞬間だった。中に入って、「髪を少し短くして下さい」と、習った単語と文法で文章を構築して言うと、優しそうな理髪師のおじさんはわかってくれたみたいで、指でOKサインを出した。これまた嬉しいものである。

かくしてバンコクで床屋デビューとなったのだが、所変われば品変わるで、日本と異なる点が幾つもあって面白かった。まず料金。東京の近所の床屋は4,000円もするが、こちらは150バーツ(約650円)。チップを入れても170バーツ(約740円)だ。その代わり、蒸しタオル、顔剃り、洗髪、整髪料、マッサージといった至れり尽せりのサービスはない。髪を刈った後は、生え際を軽く剃って、ハイお仕舞いである。ドライヤーは服に付いた髪の毛を吹き飛ばすためだけに使われる。次にカットの仕方。ハサミと櫛で丁寧にカットしてくれるのが日本。一方、この店は電動バリカンと櫛であった。私のような髪の量に乏しく、偏在している上に天然パーマである場合、バリカンは難しいと思うのだが、用途に応じてバリカンを使い分け、器用に仕上げてくれたのには驚いた。11月の帰国までにあと2回はお世話になることだろう。

まあ、それはそれとして、散髪後に床に散らばった髪の量を見てグサっときた。他の客より少ないのは致し方ないが、自分で思っていたよりも遥かに少なかったのだ。床屋デビューは、秋風に抗う木の葉の如き人生の黄昏感をも知らしめてくれたのである。

 

 


驚異の赤バス

2024-07-24 20:30:00 | ロングステイ

私は通学にバスを利用している。バンコクの複雑なバス路線を網羅するスグレもののアプリVIA BUSによれば、最寄りの停留所には実に22系統のバスがやって来る。バスを停めるには合図が必要であり、何もしないと通り過ぎてしまう。この辺りは日本と同じだが、日本では手を上もしくは斜め上に上げるのに対し、バンコクでは真横に突き出すところが異なる。

朝、チュラ大に行くには、BTS(高架鉄道)の駅があるサイアムへ出るルートとMRT(地下鉄)の駅があるサムヤーンに出るルートの二つがある。最初のロングステイの時は、サイアムに行く48番のバスを利用していた。このバスは、通称青バスと呼ばれるエアコン完備の最新式電気バスで、料金は20バーツ(90円弱)。エアコンが効きすぎて車内は19-22℃の世界であり、たまに冷えで腹痛を起こすのが璧に瑕と言えよう。便利なのだが、なかなか来ない時もあるので、今月からは出たとこ勝負でサイアムもしくはサムヤーン行きのバスに乗ることにしている。たとえ乗り間違えたとしても、車掌さんに「そこには行かない」と言われて、次のバス停で降ろしてもらえるので、前払い式のワンマンバスにはない安心感がある。

そんな訳で、青バス以外にも、14バーツのエアコン付き旧式バスや8バーツもしくは10バーツと格安だがエアコンのない赤バスを体験することとなった。この赤バスというのが年代物で、昭和の中頃にタイムスリップしたかと錯覚してしまうほどだ。ご覧の通り床は板張りで、しかも継ぎ目の隙間から地面が見える。エンジンは轟音を発し、振動もかなりのもの。停車を知らせる押しボタンは壊れているし、スコールの最中以外は窓は開けっ放しだから、排気ガスが入り放題。よってマスク着用は必須。おまけにドアも開けっ放しで走るから、下手をすると乗客が道路に転げ落ちるのではないかとさえ思う。人間に例えるなら、健康寿命の尽きた後期高齢者を無理やり働かせているようにも見えるが、この高齢者、なかなかどうしてタフで根性がある。よく見ると、さもありなん、HINOという文字の入ったエンブレムが、車体正面に誇らしげに輝いていた。

 


お気に入りのビール

2024-07-18 08:20:00 | ロングステイ

私は呑兵衛で、お酒なら大概のものは大歓迎である。日本では清酒を筆頭に、焼酎、ビール、ウィスキー、ジン、ウオッカ、葡萄酒と、何でもござれだ。しかし、ここバンコクでは、タイ内国産ビール一辺倒である。暑くて汗をかくので、身体がアルコール分の高い飲み物を欲しがらないこと、輸入品の酒は日本よりも高価なこと、が主な理由である。例えば、日本では2千円はしないと思われる葡萄酒が、バンコクでは知名度の高いワインショップであるWine Connectionで750バーツ(約3200円)。同じく、スコッチウィスキーのジョニーウォーカー赤ラベルは1300円位だが、セブンイレブンで699バーツ(約3000円)と言った具合だ。タイは物価が安いと信じて疑わずに移住やロングステイを始める事例もあるようだが、実はモノによりけりなのだ。どうしても焼酎やウィスキーを飲みたい人は、免税範囲内で持ち込むことをお勧めする。

それはさておき、チュラ大のタイ語講座でアタマに大汗をかき、帰宅後プールで500m泳いで身体にも汗をかき、シャワーを浴びた後に待っているのは、恒例の晩酌である。こればかりは、たとえ翌日が卒業試験でもやめられない。地元仕様のタイ料理でヒリヒリする口の中を、冷えたビールで洗い流すのは至福のひととき、命の洗濯だ。普段は、目の前のセブンイレブンで買ったチャーン🐘、リオ🐆、MYビールの3種を中心に、たまにシンハ🦁やタイガー🐅を混ぜてローテーションしているのだが、先週、嬉しい発見があった。TOPSというスーパーマーケットで見つけたカラバオビールというのが、本格派でとても美味しかったのだ。ヱビスやプレミアムモルツをもう少し豊かにした感じとでも言おうか。ラベルを見るとさもありなん、麦芽100%とあり、米やコーンスターチを使っていない。そして醸造元は、タワンデーンジャーマンブルワリー。タイ語では、赤い太陽、夕陽を意味する。バンコクにあっては、良質な自家製ビールを提供する貴重なビアホールで、私も何度か足を運んだことがある。かなり大きな店だが、週末ともなると満員、長いテーブルには所狭しと料理が並び、タワービールがあちこちに屹立する。ステージでは生演奏でタイの演歌や楽曲が歌われ、ムンムンした熱気に包まれて客は長い夜を楽しむのだ。ここのビールなら納得である。

このカラバオビール、シャープでリッチなラガーと薄いこげ茶色の芳醇なデュンケルの2種類があり、どちらも素晴らしい。一本60バーツでリオやチャーンより20円ほど高いが、それを遥かに上回る価値があり、今や私は宗旨替えを迫られている。

 

 

 


チュラ大Intensive Thai Level 2の洗礼

2024-07-14 08:30:00 | ロングステイ

7月1日からチュラロンコーン大学文学部の外国人向けタイ語講座のレベル2に通い始めて、早や2週間が経過した。レベル2の三分の一が終わったことになる。1-2月に受講したレベル1では、会話に力点が置かれ、教科書もIPAという国際音声記号と英語で書かれているので、タイ語の知識がゼロの入門者でも、頑張れば何とかやっていける。ましてや基礎知識のある生徒なら、高得点での修了を狙うことができる。これに対し、レベル2ではタイ文字の習得に軸足が移るので、難易度が格段に高い。レベル1とは全く異なる言語を学んでいるかのような錯覚さえ覚える今日此頃である。

少し詳しく説明すると、前半の3週間で、①タイ文字の種類と形、②綴りの規則と特殊事例、③綴りと発音および声調(トーン)の紐付け、を一気にそして徹底的にやってしまうのだ。つまり、「3週間後には、文章の意味は分からないかもしれないが、生徒たち全員が、タイ語で書かれた文章を声を出して読める」ことを先生は求めている。従って、教科書の70%を占める前半の理解度が不十分だと、後半はお手上げになるという強迫感に苛まれる。

私の場合、レベル1と2の間に4か月の猶予があったので、①と②を予習することができたが、音感に乏しいこともあって、③で心労が重なっている。授業でも③が中心で、生徒たちは次々と指名されて、パターン化された綴りをひたすら発音する。毎日の宿題も、レベル1のようなカッコに入る単語を選んだり、単語を並べ替えて正しい文章にしたり、質問に対する答えを書いたりするものではなく、音声ファイルを聴いて相当する綴りを選んだり、聴いた音をそのまま文字にする問題になる。最後に来る声にならない子音(Dead Syllable)や似た発音は、老いた耳には区別し難く、また、採点されるまで正解がわからないので、毎日が針の筵に座っているかのようだ。

そんな中、4回ある小テストの1回目が行われた。先生の前でタイ文字の単語を読むのが10問、音声ファイルを聴いて相当するタイ文字を書くのが20問、計10点満点である。模擬問題や宿題を何度も聴き込んで臨んだのだが、結果は7.25点。クラスの優秀なレディー達は軒並み8点越えで、大きく水を開けられてしまった。暗記ではどうにもならないので、こればっかりは繰り返し何度もやるしかない。学校は相変わらず楽しいのだが、前途多難だ。

 


ワイするドナルド

2024-07-11 06:30:53 | ロングステイ

今日は世界一有名なドナルド君の話である。と言っても、合衆国大統領への返り咲きを狙うトランプのことではない。トランプなんか目じゃない。もし子供にも選挙権があったら、圧倒的な大差でぶっちぎるであろうドナルド=マクドナルド君のことだ。関東ではマック、関西ではマクドと称されることが多いあのハンバーガー店のマスコットである。日本から出国するとロナルド君になるらしいが、そこは大目に見ていただきたい。

さて、このハンバーガー店だが、クラスメイトだったたまちゃんに言わせると、タイでは日本にないメニュー(例えばガパオライスとか練乳を付けて食べる揚げパン「パートンコー」など)があって、とても面白いのだそうだ。だがそれよりも、店の前に立つドナルド君がタイの伝統的な挨拶であるワイのポーズをしていることの方が、カロリーを気にする私にはずっと興味深い。恐らく、ワイをしているドナルド君は、日本には一人もいないだろう。

ワイはただ手のひらを合わせればいいというものではない。少しばかりふくらみを持たせるのが美しいとされている。また、相手に応じて、やり方を変えるのも特徴の一つ。相手を敬う度合いによって、親指の位置(手の高さ)が顎、鼻、額等に変化するのだ。正しく美しいワイができるよう、タイの子供たちは、学校でみっちりワイの仕方を教わると言う。従って、いくらタイをリスペクトしていても、外国人が見よう見まねですると、おかしなワイになってしまう。また、ワイは基本的に年下の人が年上の人に対してするものなので、私のような年寄りはあたり構わずワイをするものではないとされる。

ある日の朝、チュラ大タイ語講座の職員室に宿題を提出しに行ったら、担任の若いアーン先生と目が合ったので、「サワディークラップ」(おはようございます)と言って、顎の位置でワイをしたら、先生もにこやかに「サワディカー」とワイを返してくれたのだが、横にいたこれまた担任のワンラパー先生から指導が入った。

「貴方は歳上なんだから、自分からワイをしてはいけないわ。」

「でも先生、僕は生徒なんですけど。」

「先生か生徒かは関係ないの。貴方はアーン先生より遥かに年長なんだから、ワイをされるまで待っていればいいのよ。わかる?」

そして、ワンラパー先生はニヤッと微笑みながら最後に付け加えた。

「あなたからワイをしていいのは、この部屋の中では私だけよ。」と。