≪第99回全国高校野球選手権大会≫ ~甲子園~
【第9日】
第1試合 広 陵 (広島) 6-1 秀岳館 (熊本)
第2試合 大阪桐蔭(大阪) 2-1 智辯和歌山(和歌山)
第3試合 仙台育英(宮城) 1-0 日本文理(新潟)
第9日の甲子園。
初戦を打線で打ち勝ったチームが続々と登場、激突しました。
しかしその対戦はすべて、
しびれるような守り合いになりました。
「投手戦」というよりもバックの「守り合い」。
打ち合いじゃないので興奮度も今一つと感じる向きもあるかもしれませんが、
これだけレベルの高い『守り合い』は、
本当にすごみすら感じさせ、
高校野球の醍醐味を堪能させてくれた3試合でした。
特に今年の大会は、
打撃戦、特に空中戦の試合が多かったので、
昨日のピリッと締まった試合には、
唸ってしまいました。
第1試合は、
初戦で強豪を打ち破った同士の戦い。
優勝候補の一角である秀岳館は、
この日は何か全体にふわっとした戦いになってしまったみたいに感じて、
彼らの強みを発揮することができませんでした。
一方の広陵は、
前半からしっかりした守りで秀岳館の攻撃を抑え込み、
得意の終盤勝負に持ち込んで7回一気に決めに行きました。
決勝点がスクイズだったあたりに、
『おっ、さすがは広島野球』
なんて勝手に思ってしまいましたが、
最後は主砲・中村の2試合連続3発目の3ランで勝負を決めました。
この中村クン。
ものすごい選手ですね。
打撃もさることながら、
前半で見せた2塁への送球、
しびれました。
すでにプロに入っても肩は遜色ないぐらいのレベルに達していますね。
「捕手受難」のプロ野球界、
どのチームも喉から手が出るぐらい、
欲しい選手でしょう。
すでに『ドラ1確実』なんて報道も出ているぐらいの、
注目の選手になっています。
第2試合の強豪対決は、
ホントにホントに、
しびれるような試合でした。
試合後に両チームの選手があいさつを交わした後、
期せずして大きな拍手が球場を包みました。
「思わず拍手を送ってしまう」
そんな素晴らしい試合でした。
王者・大阪桐蔭に果敢に立ち向かっていった智辯和歌山は、
これまでの数年間くすぶっていた思いをすべてぶつけるかのような戦いぶり。
『ちょっと年を取ったかな?』
なんて思っていた甲子園最多勝監督である高嶋監督、
昨日の試合は「あの強かったころの智弁和歌山」を思い起こさせるようなたたずまいを、
ベンチの前で見せてくれていました。
やっぱり高嶋監督は、
ベンチの前で仁王立ちしていてくれなきゃ!!!
そしてその智辯和歌山に押し込められながら、
しのいでしのいで苦しい試合をものにした大阪桐蔭は、
やっぱり「まぎれもない王者の野球」でした。
予想以上の出来を見せた智弁投手陣に、
かなり大阪桐蔭の打者は戸惑ったと思います。
エース徳山も本調子ではなかったようで、
何度もピンチを迎えましたが、
その都度徳山を援護するバックが美技を連発。
初回のセンター藤原の美技から始まり、
強烈なゴロを何度もさばいた泉口、
見事なバックホームで走者を本塁寸前で刺した山本、
相手のちょっとしたスキを突く送球で何度もタッチアウトを取った内野陣。。。。。。
智辯和歌山にしてみたら、
『あと2,3点は確実にとれていた』
と思った試合だったことでしょう。
大阪桐蔭はバッティングがどうしても注目されますが、
この守備の素晴らしさが、
彼らの安定した戦いの源になっていることは明らかです。
あの春夏連覇をした最強PLに、
確実に近づいてきていることを感じますね。
そして第3試合。
早稲田の先輩、後輩である日本文理・大井監督と仙台育英・佐々木監督の戦いとなりました。
この試合も第2試合同様、
しびれるような守り合いになりましたね。
ピンチでも強気の投球を続けて仙台育英打線を抑える日本文理のエース稲垣のピッチングに対し、
仙台育英は守備で攻守を連発。
大井監督に『ヒット4,5本は損した』と言わしめた守備のすごさで、
1点を守りきり完封勝ちを収めました。
エース長谷川もこの日は制球もまとまって、
相手にピンチを与えませんでした。
仙台育英と言えば、
2010年の開星戦の最後、
『抜ければ逆転』
という左中間の当たりをダイビングキャッチでつかみ取り勝利をもぎ取ったという試合が思い起こされますが、
やはり守備は伝統的によく鍛えられています。
今年のチームは特に、
一歩目が早く、
内外野ともに守備範囲型のチームよりも断然広い感じがします。
3回戦で激突する大阪桐蔭との、
守備の比較がとても楽しみになってきました。
ということで、
2回戦が終了。
全国の高校球児で、
まだ現役を続けているのもあと16チームの選手だけとなってきました。
5強なんて言われていた今大会は、
そのうち4つのチームがすでに大会を去るということになって、
波乱の大会ということも言えますが、
『大本命』の大阪桐蔭は、
その力を見せつけて勝ち進んできています。
大会前から言われていた、
「大阪桐蔭を倒すチームは出てくるのか?」
という焦点がそのまま、
大会後半の焦点に移行してきています。
楽しみな大会となってきました。
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