すっかり根付いてきた『市民マラソンの祭典』東京マラソン。
今年は、
曇り空微風、
マラソンにちょうど良い気温という素晴らしい条件で行われました。
浅草の街に入る直前に道路を曲がると、
目の前にド~ンとスカイツリー。
あの光景、
ランナーたちは忘れないでしょうね。
”市民マラソン”
とはいえ、
アスリートたちの競技としての”マラソン大会”という側面も、
もちろんあるこの大会。
今年の大会の目玉は何と言っても【皇帝】ゲブレシラシエの参戦。
『世界の走り』に注目が集まりました。
そして日本人では、
なんと言われようとも自分のやり方を変えない『公務員ランナー』川内の参戦でした。
しかしレースは、
皇帝も公務員ランナーも失速するという波乱の展開。
優勝はケニヤのキピエゴが2時間7分37秒でさらい、
注目の日本人トップには、
フリーの藤原新が2時間7分48秒の好タイムで飛び込みました。
藤原の走り、
前半足をためて後半爆発するというもくろみ通りの、
素晴らしいものでした。
タイムそのものよりも、
従来の日本人にはない『勝負強さ』が感じられる走りは、
今後に期待が持てますね。
聞くところによると、
藤原はJRを退社してフリーのランナーになり、
無休の中苦労して掴んだ今回の2位という結果だったそうです。
やはりモチベーションが高かったんでしょう。
昨日の走りで、
賞金400万円のほか、
副賞ではBMWもゲット。
ホクホクでした。
おまけに、
一番欲しかった≪ロンドン切符≫も、
ほぼ決まりです。
素晴らしい、
忘れられない1日となったことでしょう。
おめでとうございます。
一方川内は、
好調が伝えられていてものの25キロの前で失速、
14位と惨敗に終わり、
福岡国際で手繰り寄せていたロンドンへのキップは、
するりとその手からこぼれ落ちてしまったようです。
しかし来週の琵琶湖マラソンを見てみないと、
何とも言えませんがね。
しかし去年の川内といい昨日の藤原といい、
苦労しながら走るランナーが結果を出しているということは、
どういうことなんでしょうか。
実業団の選手には、
それだけ人材がいないってことなんでしょうか。
そうは思えないんだけどなあ・・・。
実業団選手の練習メソッドとか1日のタイムスケジュールを見たことがありますが、
それはもうシステマティックで専門的で、
『こうまでしなければ戦えないのか』
と思ったものです。
練習の方法から分析、栄養まですべてにわたり、
トータルにコーディネートされているという感じですかね。
しかも走ることでしっかりと生活の糧は得ているわけですから、
恵まれた環境だといえます。
だが、
市民ランナーといえなくもない『後ろ盾のない』存在の二人がオリンピックのマラソンの代表の座を射止めようとしている。
これって、
なんなのでしょうかね。
ふと、
『ロッキー4』を思い出してしまいました。
ソ連が国の威信をかけてその科学の粋を結集して育て上げた『戦うサイボーグ』ドラゴに対して、
アメリカのロッキーは自分に野性を取り戻すためにひとり山にこもって自らを鍛え上げ、
最後は『サイボーグ』を叩き潰すという映画でした。
なんだか訳もなく、
その映画のシーンが頭を駆け巡ってしまいましたね。
『野生』とか、
『モチベーション』などは、
時として『科学』を超えてしまうのでしょうか。
藤原と川内の挑戦は、
なんとなく環境は整っているのに退化し続ける日本男子マラソン界に、
一石を投じている気がしてなりません。
(限界もありますがね・・・・)
タイムだけじゃなく勝負強さ。
これがいま日本人のランナーに求められているもの。
それを体現してくれた、
昨日の藤原新の走りでした。
願わくば、
ロンドンのスタートラインに、
藤原・川内が並んで立っていてほしい。
切なるワタシの願いです。
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