≪第96回全国高校野球選手権大会≫
- 予選展望10 九州(2) -
【大分】(参加47校)
混戦続く大分の夏。明豊、大分商に杵築、臼杵も狙う。
◎ 明豊 大分商
〇 杵築 鶴崎工
△ 柳ヶ浦 臼杵
▲ 藤蔭 大分上野ヶ丘 楊志館
明豊は秋季大会で優勝、4年ぶりの夏を狙えば、森下・川瀬の2枚看板を擁する大分商は投手力で鋭く迫ってきた。春の県大会を制した鶴崎工も戦力は充実、そしてその後の件選手権を制した杵築も候補に挙がってくる。春準Vの古豪・臼杵に強豪の柳ヶ浦あたりまでが第1グループを形成。混沌とした本命なき大混戦の大会は、果たして勝利の女神は、どの学校に微笑むのか。明豊は、穴の少ないバランスの取れた戦力を誇る。エース前田に控えの山中も好投手。守備も固く、相手に無駄な点をやらない野球が徹底している。大分商のエース森下は、速球で押す剛腕タイプ。打ってもクリーンアップの一角を占め、甲子園に導くと意気盛んだ。県選手権優勝の杵築は、3年ぶりの夏を狙う。自慢は強力打線。ここに来て投手陣も安定感を増し、十分に明豊に対抗できる戦力を整えた。春の県大会優勝の鶴崎工は、九州大会でも強豪の糸満を追い詰めるなど上り調子だ。柳ヶ浦は、古田・真鍋らの中軸にパワーがあり、打では引けを取らない。春準優勝で古豪復活を狙うのが臼杵。戦後すぐに活躍した時期をのぞいて、県大会では『無印』の時期が長かったが、春の勢いを夏まで持続することができるのか。エース水元を擁する藤蔭、4番太田の楊志館、そして県内屈指の進学校でもある大分上野が丘など追ってくる勢力も多士済々。最後まで目の離せない大激戦の県大会になる予感だ。
【宮崎】(参加49校)
連覇狙う日南学園が優位も、延岡学園、聖心ウルスラなど強豪が差を詰める。
◎ 日南学園
〇 延岡学園 聖心ウルスラ
△ 宮崎学園 宮崎日大
▲ 日章学園 都城 延岡商 都城商
連覇を狙う日南学園の戦力が充実しており、まずは1番手に上がる。秋は対外試合禁止の憂き目にあったが、捲土重来を期した春はキッチリ優勝。その野球力を見せつけた。和間・森山の両左腕はいずれも160センチ台のちびっこサウスポー。しかしその実力は一級品だ。打線は前田兄弟が3・4番に座り、ワンツーパンチを見舞う。平成に入ってから県では初めての、夏連覇を狙う。一昨年のセンセーショナルな活躍が忘れられない延岡学園は、その時の生き残りである準Vメンバーである岡田が最後の夏に挑む。あまちゃんのテーマに乗って、今年も激戦を駆け抜けることができるかは、層が厚くなってきた投手陣次第か。ここの所県では上位を外さないのに甲子園が遠くなっている聖心ウルスラは、最後の詰めでの勝負強さがカギ。総合力は高く、今年も候補の一角は外さない充実した戦力を誇る。エース横山に期待がかかる宮崎学園は、”県の大エース”の系譜を受け継ぐエース横山が軸。最速は147キロまでアップしたこの豪腕が、熱い夏を演出するのか。群雄割拠の大会にあっては、過去の甲子園への『成功事例』を持っている学校も手ごわい。そういう中では、いずれも甲子園経験のある宮崎日大、日章学園、都城、都城商らにかかるOBやファンなどからの期待も高そう。どういった戦いぶりを見せるのか、見ものだ。
【鹿児島】(参加77校)
神村学園、鹿児島実、樟南。やはり3強は、一歩抜けた戦力を持つ。
◎ 神村学園
〇 鹿児島実 樟南
△ れいめい 大島 出水中央
▲ 鹿屋中央 玉龍
強打を誇る3強が今年も優位。まずは神村学園。選抜では仙台育英に実力差を見せつけられての敗戦に終わったが、ひとたび打ち出すと止まらない打線はやはり魅力的。主砲の山本を軸にした打線で春夏連続を狙う。ここ数年甲子園まで届いていない名門・鹿児島実だが、今年こそはの気合いがすごい。本格派のエース橋本に安定感が出て、戦い方にグッと安定感が出てきた。もとより強力打線は”例年通り”の迫力。アナがない戦力という面では、県内で最も甲子園に近い場所に位置するとみている。2年ぶりの夏を狙う樟南は、相変わらず投手がよく育つ伝統を継承。今年も2年生の左腕コンビである畠中・浜屋の両投手の安定感は抜群だ。打線はライバル2校に比べると今ひとつといえなくもないが、勝っている大会では必ずロースコアの『樟南ペース』での試合に引きずりこんでおり、戦い方を良く知っているというのも伝統の強みだ。3強とは差があるが、昨年同様勝ち上がりたい鹿屋中央にも注目している。今年は4月まで対外試合禁止だったが、それだけに未知の戦力が不気味でもある。春の県大会で優勝したれいめいは、打線の破壊力は抜群。長打で突き放していく『薩摩隼人』の野球が身上だ。昨春野選抜出場校である大島は、センバツの生き残り組がチームの中心。エース前山はセンバツのマウンドも経験しており、マウンドで動じない姿はチームに安心感を与える。明治とも上位進出を果たした出水中央は、長打はないものの総合力が高い打線が持ち味。久しぶりに代表を狙う玉龍も注目される。
【沖縄】(参加62校)
”あの夏”以来の代表狙う興南。だが糸満、美里工、沖縄尚学ら、刺客は多い。
◎ 興南
〇 美里工 糸満 沖縄尚学
△ 中部商 宮古
▲ 浦添商 沖縄水産 八重山商工 石川
あの島袋を擁した春夏連覇の後、興南はまる4年以上にわたって、甲子園の出場を果たせなかった。それだけ沖縄全体の高校野球のレベルが高かったということの証明だが、ようやく5年ぶりの夏を狙えるところまで、チームはこぎつけてきた。左腕のエース比屋根は、島袋によく似た左腕の好投手。『あの夏』を再現するためには、打線の爆発も必要だが、それだけの戦力を持っていると感じるチームである。糸満はセンバツにも出場したが、チームの特徴でもある『身体能力の高さ』を存分に発揮した切れ味鋭い攻守が発揮されるようだと、夏も聖地への道が開ける。美里工は、昨春の選抜に続く甲子園を狙う。もともと攻撃力には自信を持っており、エース久田のピッチング次第では初めての夏が現実味を帯びる。昨夏は圧倒的な強さを見せた沖縄尚学。今年の下馬評はさほどでもないが、それでも選手個々の質の高さは県内で群を抜いており、厳しい戦いを潜り抜けて一気に・・・・というのも十分に可能性がある。エースになる投手が現れれば、十分に戦える。昨秋優勝の中部商は、エース前田の速球には目を見張るものがある。『どうして?』という戦いぶりが多い夏の大会で、ポカをなくしたいところ。宮古、浦添商には好投手がおり、有力校は気が抜けない。名門・沖縄水産はこのところずっと音沙汰がないが、今年の復活はあるのか。2年生がレギュラーの8人を締める石川は、甲子園に出場すれば40年ぶりの快挙だ。
<了>