≪第90回選抜高校野球大会≫ ~甲子園~
【準決勝】
第1試合 智辯和歌山 12ー10 東海大相模 (延長10回)
第2試合 大阪桐蔭 3×ー2 三 重 (延長12回)
選抜高校野球は1日の休みを挟み、
準決勝が行われました。
試合は第1、第2試合ともに手に汗握る試合となりました。
両試合ともに延長にもつれ込む大熱戦で、
智辯和歌山と大阪桐蔭が決勝に進出。
昨年の”大阪決戦”に引き続いて、
ここ5年間で3回目の『関西決戦』となりました。
両校ともに終盤での粘りを発揮して試合をひっくり返すという戦いぶり。
満天下に「関西の野球の底力」を見せつけての決勝進出だけに、
決勝でも激しい戦いが繰り広げられることは間違いないですね。
それにしても準決勝が2試合ともに延長にもつれ込む大激戦になったのは、
よくNHKの「選抜熱球譜」でも見ることのある、
平成2年の準決勝以来ですかね。
あの時は第1試合が延長13回、
第2試合が延長17回で、
いずれもサヨナラ決着でした。
「延長17回」というのを聞くと「懐かしいなあ・・・・・あの頃はそんな長く延長をやっていたんだなあ」なんて思いますが、
これからは「延長13回」でもそういうことを感じることになるんですね。
「延長13回」という表示、
なくなるんですねえ。。。。(延長13回タイブレーク・・・・・という表示になるんでしょうね。)
第1試合の智辯和歌山は、
高嶋監督をして「負け試合ですね」というほど苦しい試合になりました。
先発の池田が1死も取れずに炎上。
東海大相模に対して、
絶対にやってはいけない「初回の速攻」を許してしまいました。
しかし準々決勝でも大量ビハインドの苦しい試合をひっくり返してきた智辯和歌山。
久しぶりに彼らの「背中から湧き上がってくる気迫」と言おうか、
「負けたくない思いが背中からにじみ出る迫力」を感じました。
ミス、ミスと続いて大量得点を奪われたときは、
ここしばらく続いていた「智弁の負け試合」の典型的なパターンかな?と思いましたが、
そこからの”まくり”はまさに、
かつて智辯和歌山が高校野球界のトップに君臨した時の戦い方そのものでした。
70歳に近づいたころから「丸くなったなあ」と感じていた高嶋監督が、
火のような気迫を漂わせながらベンチ前で仁王立ち・・・
という高校野球ファンにはおなじみの姿も見せてくれました。
大ベテランで、
巷ではいつ引退してもおかしくないと思われている”甲子園最多勝”の高嶋監督。
有終の美を飾るにはまたとない機会がやってきました。
あの常総学院・木内監督も、
04年に”有終の美”を飾っています。
ナインが火の球になって『王者』大阪桐蔭に向かっていきます。
第2試合の大阪桐蔭は、
まさに『王者とはこうあらねば』を体現してくれた戦いでした。
高校野球はトーナメント戦ですから、
1大会に1度は必ずこの日のような苦しい戦いを強いられる試合があるもの。
そこを超えればおのずと頂点が見えてくるものですが、
大阪桐蔭はその『しのぎたい試合』を見事に勝ち切りました。
”勝ち切った”という表現がぴったりの、
この日の試合だったと思います。
あの史上最強と言われたKKのPL学園も、
必ず1つの大会で1試合は苦しい苦しい試合を経験してきました。
それをしのいでこそ「最強」の称号にふさわしいチームなのだと感じています。
この日の大阪桐蔭は、
三重のエース定本の低めに投げる気迫の速球と、
高めにやや抜け加減で入ってくるスプリットなどの変化球にタイミングを狂わされ、
なかなか崩れた打撃を立て直せない試合展開となりました。
かつての大阪桐蔭ならば、
こういった試合展開を勝ちで『しのぎ切る』ことはできなかったと思いますが、
西谷監督をはじめいろいろな経験をし、
しかも自信をもって「必ず逆転できる」と信じて試合を運べるようになってから、
この「終盤のまくり」が伝統になってきた感すらあります。
2点を先行された後の5回からマウンドに上がった根尾が素晴らしいピッチングで相手の追撃を止めると、
その根尾が1点ビハインドの9回先頭打者で四球を選び、
そこから小泉に同点打が出てついに三重をとらえることに成功。
最後は延長12回、
手負いの主砲・藤原が左中間を豪快に破る2塁打で決着をつけました。
大阪桐蔭は追い付いた後は、
根尾の安定感抜群の図抜けたピッチングもあり、
同点だったにもかかわらず「まったく負けるということが想定できない」ような、
そんな試合をしてくれました。
厳しい試合でしたが、
それをしのぎ切ったからこそワタシは、
『ああ、大阪桐蔭は、本当に強い絶対王者なんだなあ・・・・・』
と思って画面を見ていました。
まあ、
「初めてのタイブレーク、見たいなあ」という期待なんていうのも、
あるっちゃあ、ありましたがね。
結局今大会では、タイブレークを見ることはありませんでしたね。
(記念となる「初めてのタイブレーク試合」は、いつになるのでしょうね。)
さて、決勝戦です。
大阪桐蔭としては、
智辯和歌山の終盤の気迫に飲まれないでしっかりとした戦いができれば、
やはり有利だと思います。
果たしてどんなフィナーレが待っているのでしょうか?
最後に、敗れたチームにも触れておきましょう。
東海大相模は、
初回の速攻は見事でしたが、
やはりまだ「頂点」を取るには力不足だったのではないかなと思います。
それでも大会を通していろいろな試合をして、
チームは夏に向けては素晴らしい経験を積んだのではないかと思います。
今年の夏の神奈川県大会では、
東海大相模は”天敵”ともいえる横浜とは別の地区になるので、
よほどのことがない限り夏の甲子園帰還も達成できるのではないでしょうか。
夏までに、
この日敗れた智辯和歌山や、
絶対王者の大阪桐蔭を破るぐらいまで、
チーム力を上げていくことができるでしょうか。
ここからが真価を問われる、
今年の東海大相模です。
第2試合で敗れた三重は、
本当によくやったと思います。
素晴らしい戦いぶりで、
今持っている力のすべてを出したと思います。
あの延長12回をしのげば史上初のタイブレークでしたので、
勝つチャンスも生まれてきたと思うと、
残念な結末となってしまいました。
夏に向けては、
まずはしっかりと選抜の疲れを取って、
リセットして新たな戦いに向かってほしいと思います。
ということで、
過ぎてみればあっという間に決勝・・・・・という感じですね。
球史に残る激戦を期待しましょう。