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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

第96回全国高校野球選手権大会 予選展望2 ≪関東≫

2014年06月24日 | 高校野球

≪第96回全国高校野球選手権大会≫
- 予選展望2 関東 -





【茨城】(参加103校)  
今や宿命の対決となった常総学院と霞ヶ浦。今年も決戦必至で、果たしてどちらが勝つのか。

◎ 常総学院 霞ヶ浦 
〇 水戸工 明秀日立
△ 土浦湖北 藤代 
▲ 水戸桜の牧 つくば秀英 水戸商  

昨季から何度も決勝対決を繰り返す茨城の2強、常総学院と霞ヶ浦の今夏の決戦も濃厚という気がする。今年に入ってからの対戦は、秋が引き分け再試合の上2-1で霞ヶ浦。反対に春は、6-1で常総学院が制した。しかし両校ともに、これまでの対決では必ずしも戦力を十分に使い切っての勝負ではなかったため、夏こそが最後の、そして本当の意味での『ガチンコ』対決となる。昨夏は終盤に常総学院が追い付いて、最後は内田のサヨナラアーチで霞ヶ浦を振り切った。県内の【名勝負数え歌】は今年も新たなページを加えることだろう。霞ヶ浦は春の関東大会で横浜相手にコールド勝ち。この勝利がチーム全体に弾みをつけられればまさに”悲願”の初出場に近づくことができる。エース上野は小柄な左腕だが、昨年から強豪相手に度々サプライズを起こすピッチングをしている好投手。今年は決勝までにどれだけスタミナを温存できているか。常総学院は軸になる投手は不在だが、その分枚数は多く、3枚揃う投手陣は誰が投げても一定の失点を計算できる強みを持つ。得意の継投で失点を最小限に抑え込むという、猛暑の夏向きのチーム構成と言える。両校ともに打線は中距離ヒッターが並ぶ感じで、同じ対決となっても昨年とは戦い方が違う興味深い戦いとなるだろう。3番手には2季連続4強に進出して、夏は一発逆転を狙う水戸工が上がる。安定感抜群のエース後藤は、3度目の対決となる常総学院を打倒するため鍛え上げている。秋の関東大会を経験して、大舞台という経験値も手に入れ、夏の覇権を狙いに行く。これまた2季連続4強進出の土浦湖北は、あと一歩届かない2強の壁にどう挑んでいくのか。そして注目を集めるのが、青森・光星学院で全国レベルのチームを作り上げた金沢監督率いる明秀日立だ。春は常総との対決であと一歩まで迫ったように、実力は折り紙つき。夏までに底上げされるであろう打線のパワーで、一気に頂点まで上り詰めたい。そのほかでは名門の藤代や水戸商が虎視眈々と狙いを頂点に定めれば、土浦湖北、水戸桜の牧は初めての甲子園に足跡を刻みたい。つくば秀英のエース鈴木は注目の好投手だ。





【栃木】(参加64校) 
選抜4強の佐野日大はエース田嶋に賭ける。4連覇狙う作新の強打は健在。

◎ 佐野日大 作新学院
〇 白鴎大足利 矢板中央
△ 国学院栃木 大田原 文星芸大付 
▲ 宇都宮工 宇都宮南 青藍泰斗

春の選抜で強豪を撃破し4強まで上り詰めた佐野日大。ドラフト候補の速球派エース・田嶋の出来がチームの命運を握っている。田嶋はセンバツ後関東大会までは完全休養状態。その後徐々に夏に向けて調整を続けているようだが、センバツで見せたようなキレのある速球・変化球の精度を取り戻せるか。逆にセンバツを経験して、弱いと言われていた打線の底上げが出来てきたのが好材料。『打ち合いでも負けない』所を見せられれば、春夏連続の甲子園はぐっと近づく。若き名将・小針監督が率いて3年連続で甲子園のキップを掴んでいる作新学院は、今年も打線が活発なチーム。左腕・藤沼から昨年も活躍した2年生右腕・朝山につなぐ必勝パターンが確立すれば、4連覇は完全に視界に入る。秋の関東大会を制して選抜でも1勝をあげた白鴎大足利だが、チームの成長が今一つ感じられない春となった。夏巻き返すには秋に打ちまくった打線が再び爆発することが必要だ。エースの比嘉は球威はないが重い速球を巧みに投げ分けるタイプ。春は準優勝に輝いて関東大会でも専大松戸に競り勝った矢板中央はニューフェースとして注目だ。打線は良く鍛えられており、乱戦になれば負けない。ここ数年ライバルたちに水をあけられた感のある文星芸大付は、今年こそ巻き返したいところ。国学院栃木、青藍泰斗、宇都宮南などの名門とともに、波乱を演出できるか。近年結果を出している大田原は、春は4強進出。歓喜の夏の甲子園を掴んで、数多いOBを歓喜に浸らせたい。





【群馬】(参加67校)  
『全国屈指』のレベル誇る大激戦。前橋育英の夏再びか、桐生第一の2年生パワー爆発なのか。それとも機動破壊の健大高崎?春優勝の樹徳?

◎ 桐生第一 前橋育英
〇 樹徳 健大高崎 
△ 沼田 前橋商 前橋工
▲ 伊勢崎清明 高崎商 東京農大二 

昨夏の甲子園で、まさかの県勢2度目の全国制覇を成し遂げた前橋育英。その大エースにして今年のドラフトの目玉でもある高橋光成を擁しながら、今年の前橋育英は秋、春の公式戦でなんと1勝も挙げていない。両大会ともに初戦敗退した前橋育英の潜在能力をどう評価するかで、今年の大会の”色”は完全に変わってくる。前橋育英は、良くも悪くも高橋光成次第というのは間違いないところだろう。彼が昨夏見せたような八面六臂のピッチングを見せると、群馬連覇の期待も大きく高まってくる。しかし、とにかく公式戦の経験が少ない今年のチームが、どこまで夏を戦い抜いていけるかは未知数というのが正直なところ。招待大会などでは他県の強豪を圧倒する力を見せる前橋育英、果たして今年は裏が出るのかそれとも表か。その前橋育英よりも、今年のチームに関してはずっと実績を積んでいるのが桐生第一。9人の先発メンバー中8人が2年生というフレッシュな布陣ながら、センバツでは15回延長再試合を制して2勝。さらに優勝した平安を最後まで苦しめたなど、実りの多い大会になった。エースの山田は速球を自在にコース、球速を変えて投げ分ける技巧派。夏の連戦にはうってつけのタイプで、本命に上げられる戦力を持っている。打線もセンバツ時よりかなり底上げが出来ている感じで、『関東屈指の強豪』の名に恥じない戦力だ。その両校のマッチレースに待ったをかけたいのが2校。健大高崎と樹徳だ。両チームともにチーム力は完全に全国レベル。一歩も引かないという構えを見せる。健大高崎は、チームが標榜する”機動破壊”のスローガンのもとに、今年も走れるチームを作ってきた。その機動力は40年前の広島商を思い出させるほど破壊的で、『無安打でも点をもぎ取る』パワーは相手には脅威。樹徳は左の技巧派・ホジャティーが粘りの投球を見せ、それをドラフト候補・野平の強打などで支えるオーソドックスなチーム。持っているポテンシャルはかなり高いものがある。今年の大会に関しては、この4チームのいずれかが覇権を奪うことはまず間違いないとみる。そしてどこが甲子園に出場しても上位が狙えるだけの戦力を持っている。群馬県史上に残るレベルの高い戦いになることは必至だ。他校では、名門の前橋商、前橋工、高崎商、東農大二に新鋭の沼田、伊勢崎清明などがどこまでからんでくるか。激戦必至の、目の離せない大会だ。




【埼玉】(参加156校)  
やはり中心は小島擁する浦和学院。ライバル聖望学院、春日部共栄、花咲徳栄らが追い、エース上条の市川越にも注目が集まる。

◎ 浦和学院
〇 聖望学院 春日部共栄
△ 花咲徳栄 市川越 
▲ 本荘第一 大宮東 上尾 

昨春のセンバツを制したエース小島が健在な浦和学院の優位は揺るぎそうもない。昨年のチームが特別なチームだっただけに、実績を残していない今年のチームは低く見られがちだが、浦和学院の戦力の充実度は県内ではトップであることは間違いない。小島は昨年ほどの球のキレを感じることは出来ないが、それでも球の出し入れの妙を感じさせてくれる好左腕。大舞台の経験値は全国屈指だけに、スタミナ切れさえ起こさなければ県大会を最後まで駆け抜けていく可能性は高い。打線は昨年のように長打で一気に突き放していく力はないものの、点の取り方を知っておりこちらも他校とは差がある。夏に強い実績もあり、よほどのことがない限り浦和学院の優位は動きそうにない。さて、追っていく一番手は春季大会で準優勝の聖望学院か。続いた関東大会で慶応打線を完封した中村-松本の継投策は安定感抜群。しかし甲子園を狙っていくにはやはり打線の強化が急務。小島を打倒するためには、4,5点取れるぐらいの打線強化ができるか。このところすっかり甲子園から遠ざかっている春日部共栄は、今年も有力校の一角に名を連ねる。しかしながら、県大会を戦っていく途中での苦戦の試合でどうしても勝ちきれないという悪癖は、今年解消できるのだろうか。プロ注目の守屋捕手に注目。秋は県大会を制した花咲徳栄だが、春は県大会初戦で敗退。選抜を経験する選手を多数そろえ、本命の浦和学院に対決を挑む。『埼玉NO1』の称号を持つのは市川越のエース上条。激戦の埼玉にあって、秋準優勝、春4強と実績を積み上げている。一発勝負の大会だけに、剛腕と対戦する有力校は戦々恐々だろう。秋は小島を攻略して浦和学院を破った本庄第一。春は初戦敗退だったが、もともと夏に強いチームだけに侮れない。そのほかでは、大宮東と上尾という、かつて一世を風靡した学校の逆襲があるのか。これに所沢商を加えて、古豪復活をキーワードに大会を見るのもまた面白いかもしれない。




【千葉】(参加171校) 
初出場狙う専大松戸。千葉経大付と習志野が追い、東海大付属2校もいい位置につける。大激戦必至の大混戦か。

◎ 専大松戸
〇 千葉経大付 習志野
△ 東海大浦安 東海大望洋 
▲ 木更津総合 松戸国際 千葉英和 拓大紅陵 流通経済大柏 銚子商

専大松戸は、近年の千葉では最も安定した戦績を残している。しかしながら、まだ甲子園の土を踏んだことはない。松戸市としての悲願の甲子園出場には、今年の専大松戸が一番近い気がする。原、金子の2本柱の投手陣の安定感は抜群。春の県大会では、5試合をわずか1失点で優勝まで駆け抜けた。この再現ができるようだと心強いが、優勝候補として臨んだ関東大会では、矢板中央戦でまさかの7失点。弱点も露呈してしまったが、持っているポテンシャルは高いので夏までにどう仕上げてくるか。これまでは右打ちを中心として単打と小技でつなぐ印象のあった打線も、今年はつながり、長打ともに十分で、底上げが出来て申し分ない実力。専大松戸初出場の機は熟したとみるが、どうか。追っていく各校の中では、千葉経大付属がなかなかいい。松本監督に厳しく鍛えられたナインがここという時に力を発揮するチームだが、今年は秋春とも県大会で終盤に試合をひっくり返されて敗退。夏に向けて実戦の中でそのあたりをどう鍛え上げていくか。秋優勝の習志野は、春は躓いた。『選抜ほぼ当確』と報道されていながら吉報が届かなかったショックを払しょくしきれない春となった。気持ちを切り替えて臨む夏は、エース川上の復調で、名将の小林監督がキッチリ鍛えてくるはずだ。春準優勝の東海大浦安と4強の東海大望洋、両東海勢は決勝での兄弟決戦をもくろむ。東海大浦安は関東大会で東海大相模の140キロ右腕、吉田を終盤完璧に叩いて力を見せつけた。しかし頼りになる投手がエースの平川一人というところが弱点。東海大望洋は、一冬超えて打線に破壊力が付いてきた。今年は打ち勝てるチームに変身中だ。そのほかでは、3年連続の夏を目指す木更津総合の戦い方に注目。昨年のエース・千葉が復活して、波乱を起こす要素は揃っている。”松戸市から初の甲子園”はわが手でと狙いを定めるのは新鋭の松戸国際。近年グングンと力を上げてきており、侮れない存在になりつつある。打線の破壊力は県内でも上位。名将・小枝監督最後の夏となる拓大紅陵は意地を見せられるのか。力を持つ流経大柏、千葉英和などの初出場を狙う各校に、名門の銚子商なども絡んで、千葉の夏は今年も序盤から息の抜けない展開になりそうだ。




【神奈川】(参加190校)  
横浜の夏がまた来るか。弔い合戦の東海大相模は。それとも春実績を残す向上の、初出場がなるのか。

◎ 横浜
〇 東海大相模 向上 
△ 桐光学園 桐蔭学園 慶応義塾
▲ 日大 横浜隼人 武相 横浜創学館 日大藤沢 平塚学園

出場校数で全国NO1の座を奪い返した神奈川。『神奈川の夏』は特別だというものが根付いてはいるものの、どうも今年は他県との戦力比較では分が悪い情勢となっている。力があるのはもちろん横浜。2季連続の甲子園出場という実績に、ドラ1候補の浅間・高濱を擁する強力打線など、『県内を圧倒する』チームであるにもかかわらず、昨年から外に飛び出すと全く”勝負にならない”戦いに終始してしまっているのはどういうことなのか?『全国制覇を狙って』作り上げられたチームであることは疑いようがないが、その真価はいったいどこで発揮されるのだろうか。今年の夏の大会後に小倉部長が退任する予定で、今後のチーム作りには大きな転換が迫られると考えられるが、今年の夏から他校が横浜を”超えていく”シーンが見られるのかに注目が集まる。ライバルの東海大相模は、チームの”中興の祖”であり、精神的支柱でもあった原貢元監督を失って弔い合戦の様相。そういった特殊な事情が、ともすると勝負弱いと言われた東海大相模のチームに火をつけることになるかもしれない注目の夏だ。ドラフト候補のひしめく投手陣の陣容は県内一。あとは『門馬采配』が横浜相手に炸裂できるのか。春の関東大会で決勝まで駆け上がった向上は、その勢いを持続させて夏に臨みたい。もとより打線の破壊力には自信があり、今年は投手陣に三本の矢が揃った。関東大会で『神奈川最後の砦』となってから勝ち上がった力は本物だとみる。いいブロックにも入り、狙いは初Vしかない。この3チームの下は、いつものように群雄割拠。春4強入りで第1シードを取った慶応だが、どうもしっかり勝ちきって優勝戦線を賑わわすにはあと一歩何かが足りない。昨年は神奈川を席巻した桐光だが、今年はエースがまだ決まらないという状態。ただ、1年生にいい戦力が加わり、夏の戦いはしっかりと上を見据えている模様。監督交代1年目の桐蔭は、大川イズムが根付くにはまだ少し時間が足りないか。しかしそこかしこで『新しいチーム』の萌芽は出てきているようで、ある意味最も注目される存在だ。秋準優勝した日大は打線が活発。しかし投手陣の柱が決まらない悩みは秋から解消されていない模様。同じことは武相にも言える。上位を狙うには、強豪相手にもしっかりと試合を作っていける先発の柱が欲しい。いつもながらに大会をかき回す存在の横浜隼人と横浜創学館は、軸がしっかりしたチームで、展開さえはまれば十分に頂点まで行ける力を持つ。OBで元監督の荒井監督が前橋育英で全国制覇を飾った日大藤沢。『負けていられない』という思いは強いが、今年のチームは昨年に比べて線が細い印象。昨年大ブレークの平塚学園は、今年も全員野球で上位進出を狙う。公立校でも力を持ったチームが多く、大会の序盤から『一寸先は闇』の神奈川県大会は、今年も健在の様子だ。




【山梨】(参加38校)  

吉田イズム浸透で、勝ち方が分かってきた山梨学院。甲府工・東海大甲府の両雄が追う展開。

◎ 山梨学院大付
〇 甲府工 東海大甲府
△ 日川 市川 日本航空 笛吹
▲ 甲府商 富士学苑 都留

『力はあるが、野球はうまくない』と言われ続けてきた山梨学院大付が、清峰で全国制覇の名将・吉田監督就任2年目で、完全に殻を破って脱皮してきた感が強い。トーナメントの勝ち上がり方を熟知する吉田監督の”イズム”がチームに完全に浸透しているのか、今年の夏の戦い方がその試金石となる。もともと力のあったチームは、センバツ出場に続いて春季関東大会も制覇。その関東大会での戦いぶりはファンを驚かせるに十分だった。従来の戦い方との大きな変化に、『常勝軍団』への萌芽を見たファンも多いのではないか。今年のチームは、選抜以降明らかに打者の振りがよくなってきた感じがある。選抜での”高い授業料”を良い糧にして、今年の甲子園出場、そして初めての『甲子園での2勝以上』を狙っている感がありあり。順当に山梨学院大付が県大会を勝ちぬけるのか、かなり注目される大会だ。そうはさせじと名門2校が牙をむく展開が予想される。まずは春の県大会でその山梨学院大付を破り優勝した甲府工。チームの雰囲気はかなり良く、石合監督のもと、戦力を充実させてきた。穴山、渡辺の2枚看板は容易には崩れることがないと思える安定感を誇る。打線は強豪との試合でも得点をたたき出しており、長打は少ないが安定感はある打線という見立て。2年ぶりに聖地出場を狙う東海大甲府は、昨年までのチームと比べて、全体の戦力が落ちているとは思われないが、やはり大黒柱の不在が大きいような気がする。『苦しいときは・・・・』という存在の選手がいなくなって、まさに全員野球で県大会を勝ちぬくつもりだ。久々に存在感を発揮しそうなのが市川。春の県大会では強豪を次々に破って4強まで進出。名門復活へ、いいきっかけの出来た大会だった。連覇を狙う日川は今年も気合十分。夏に力を出してくるチームカラーは要注意だ。名門日本航空が一発逆転を狙えば、新鋭の笛吹は強豪と互角に戦った春の経験をもとに夏に向かう。甲府商、富士学苑、都留の実力校たちも狙いは甲子園。充実した戦力を誇る学校のつばぜり合いが展開されそうだ。



【東東京】(参加139校) 

5強が差なく並び大混戦。ややリードの関東一が逃げ切り春夏連続なるか。

◎ 関東一 帝京 成立学園
〇 二松学舎大付 修徳
△ 雪谷 東亜学園 日体荏原
▲ 小山台 芝 江戸川 明大中野

ここ数年上位を占めている”いつもの”メンバーが今年もずらっと有力校に名を連ねるが、例年と違うのは『本命』がいないこと。上位5チームの実力は紙一重で、どんな大会になるのか予測が付きにくい。そんな中で、トップを走るだろうと言われているのが選抜出場の関東一。センバツや春の関東大会で見せた、終盤での粘りがチームの特徴になっており、負けにくいチームだ。さらに投手陣で2年生左腕・阿部の安定感が増してきたのが好材料。もちろんエース羽毛田もおり、この2本柱で東東京の熱い夏を乗り切ろうと目論んでいる。追っていく一番手は、2年ぶりの代表を狙う成立学園。今年は春の東京大会を制し、第1シードで夏に臨む。チームはしっかりとした守りが特徴。エース木寺は球速はないが巧みにコーナーを突く投球で相手に得点を許さない。一昨年のように、展開がはまれば一気に駆け抜けるだけの力を持ったチームだ。さて、”東東京の盟主”帝京はどうか。秋は都大会の初戦で敗れたが、春はきっちりと4強に進出し、そこでも関東一を最後まで追いつめる戦いぶりを披露した。夏の戦い方を知るチームだけに、有力候補の一角からは外せない。今年のチームは春から下級生の台頭があり、例年通りと言おうか、例年以上に層が厚くなっているのが特徴。エース伊藤に安定感が出てくれば優勝候補の一番手になる戦力だ。打線は郡、鈴木らのスプレーヒッターが上手くかみ合えば得点力も高くなってくる。昨年代表の修徳は、春キッチリと仕上げてきた姿を見せており、今年も打線の力で駆け抜けたい。そして何と言っても、『悲願の』初出場を狙う二松学舎大付が大型の戦力を揃えており、注目される。大黒柱の大黒の存在感は際立ち、秋の日大三戦で満塁アーチをたたき込んだ秦の打棒も健在。『今年こそ・・・』のOB,関係者の期待に応えられるか。この上記5チームは、どこが優勝してもまったくおかしくないほど実力は接近しているとみていいだろう。5強の中から甲子園出場チームが決まる公算が極めて強いが、”惑星”となりそうなチームはどこか。ドラフト候補のエース鈴木を擁する雪谷は、戦力を整えつつある。2度目の甲子園へ虎視眈々。このところ結果を残している東亜学園や秋4強の日体荏原なども毎年夏には仕上げてくるチームで、侮れない。センバツ組の小山台は伊藤ひとりの投手陣で酷暑をどこまで乗り切ることができるか。そのほか、注目の投手を擁する芝や江戸川、明大中野なども一発を狙ってチーム力を上げてきている。要注意だ。



【西東京】(参加131校) 

やはり筆頭は今年も力の日大三。しかし絶対ではなく、都立旋風が巻き起こる予感も。

◎ 日大三
〇 日大鶴ヶ丘 八王子 明中八王子  
△ 国士舘 早実 東海大菅生
▲ 創価 国学院久我山 片倉 日野 昭和  

例年に比べて実績に乏しいとはいえ、やはり本命には日大三を上げねばなるまい。何しろ剛球を操る投手陣の層の厚さと、どこからでも本塁打が飛び出す打線の破壊力は西東京では抜けた存在だ。3年連続甲子園出場を果たしながら、過去2年は悔しい初戦敗退が続いており、今年の3年生は甲子園での勝利の味を知らない。それだけに選手の間で燃えるものも大きく、今年も本命の座は揺るがないだろう。日大三について言えば、『はたして夏のエースの座は誰になるのか』がとても興味のあるところ。釘宮、三輪、安田ら実力のある投手陣は他校から見れば垂涎の布陣。上手く投手陣を生かし切る大会にしたいところ。打線の破壊力は言うまでもないが、長打が出ない展開になった時に足を絡めて得点する展開に持っていけるかということもカギとなるか。追っていくのは、ライバルを自認する日大鶴ヶ丘。日大三との対決に自信を持っており、何度もサプライズを起こしているチーム。日大三が最も対戦を嫌がる相手だ。今年は一冬超えて、見違えるようにチームが変貌。どちらかというと”春に強い”というイメージのチームだが、今年は夏にチーム力をピークに持っていけるかが課題か。東の二松学舎と並びなかなか甲子園までたどり着くことができない八王子も、今年は戦力が充実。春は8強までたどり着き、その後の強豪との練習試合の戦績もいい。同じく初を狙う明中八王子の戦力も充実。今年は上位下位ムラのない打線で頂点を目指す。秋4強の東海大菅生も圏内だ。甲子園の常連2校はどうか。まずは早実。今年のチームの実績は『皆無』と言ってもいいぐらいだが、やはり夏は早実の台頭がないと大会が盛り上がらないのも事実。戦力的には他校に引けを取っていないはずで、昨春のセンバツ組を中心に、1年生の台頭が待たれるところか。国士舘は昨夏は甲子園まであと一歩のところまでたどり着き、東→西への地区替えによる戸惑いは見られなかった。東東京の時代は”帝京キラー”とまで言われた足を使った細かい攻めは健在。四戸中心の投手陣に柱が欲しい。そして昨年来活躍を続ける都立勢はどうか。昨夏準優勝の日野は、今年も夏に向けて戦いの機運が盛り上がっている模様。しかし昨年ほどの打線の破壊力がないのが悩み。むしろ片倉、昭和という他の”都立の星”たちが今年は実績を残している。両校ともに春は16強入り。上位校にとってはやり辛いチームであることは間違いない。そのほかでは力のある創価、国学院久我山なども浮上の機会をうかがっている。



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