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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

第95回全国高校野球選手権大会 【決勝】  世界最高のトーナメントの、幸せな結末!

2013年08月23日 | 高校野球

 

≪第95回全国高校野球選手権大会≫

【決勝】

前橋育英(群馬)  4-3  延岡学園(宮崎)


前橋育英 000 030 100 - 4
延岡学園 000 300 000 - 3



前橋育英が、初出場で初優勝!!

驚きの成長力を見せた前橋育英、
まさに『投手陣を含めた守り』で延岡学園を振り切りました。

前橋育英は、エースの高橋光成が先発。
延岡学園は、準決勝で完封の”絶好調”横瀬が先発して試合は開始。

試合は初回、
前橋育英が満塁のチャンスをつかむものの、
横瀬が粘りを見せて無失点で切り抜け、
無難な立ち上がり。

0-0で前半戦を終えます。

試合が動いたのは中盤。
4回に延岡学園が2死満塁のチャンスをつかむ。

バッターは薄田。

ワンバウンドの難しい打球はサードの後ろへ。
サードは名手・荒井。

しかし若干体勢を崩しながら捕ってファーストへ投げたボールは高くそれ、
まさかの2失点。

試合は動き出した。

前橋育英としては、
2失点の後横瀬に打たれたタイムリーで、
3塁ランナーに続いてホームに突っ込んだ2塁ランナーを、
ライト板垣がホームへノーバウンドのストライク返球!
4失点目を防いだのが何とも大きかった!

そしてその余韻が残る5回の表、
先頭の田村がレフトへ特大の追撃アーチをかけ、
球場の空気を変えていく。

次打者の楠はスキを突いたドラックバント。
これが延岡学園の横瀬のエラーを誘い、
強気の強硬策で工藤の放ったセカンドゴロは、
併殺を狙ったセカンド度会の前でバウンドが変わりライトへ。

ノーアウト1・3塁とチャンスを広げた前橋育英は、
次打者高橋知が初球スクイズ。

1点差に追い上げ、
その後小川がタイムリー。
一気に3点のビハインドを追い付き、
土俵の中央まで一気に盛り返しました。

その後はエース高橋光成が素晴らしいピッチング。

4回以降一人のランナーも出さず、
『防御率0.00』
のすごさを見せつけて試合は後半へ。

7回、
前橋育英は先頭の土谷が深々と外野を抜く3塁打を放ちチャンス。

ここで迎えるは主砲・荒井。

この荒井選手。
今大会ずっと見てきていると、
本当に【とらえた当たり】が野手の正面を突くシーンが多く、
打撃では『不運が続くなあ』と思っていました。

この試合でも、
4回のレフトライナーなどは素晴らしい当たりでしたが、
野手の正面をついてしまいました。

この日は4回の守備で失点につながるエラーをしていたので、
心中期するものがあったでしょう。

とらえた打球は、
サードの横を鋭く抜けるタイムリー。

一塁ベースに立った荒井選手。
ガッツポーズをするわけでもなく、
主将らしく≪冷静に≫喜びを表すあたり、
『この男、大人物だな』
と思わせるたたずまいでした。

将来は監督(?)


ということで勝ち越し点を奪った前橋育英。

失点の後8回まで完ぺきなピッチングを続けていた高橋光成でしたが、
優勝のかかった9回は、
さすがに『早く終わりたい』という気持ちが出たピッチングになりました。

先頭の浜田を歩かせると、
次打者田中には完ぺきに捕らえられてノーアウト1・2塁。


球場の空気はここで明らかに変わりました。

何度も何度も球児たちを飲み込んで、
奇跡を演出してきた≪甲子園の魔物≫。
ここでも出現しそうな雰囲気になっていました。

3塁アルプスで流れる延岡学園ブラスの奏でる”あまちゃん”のテーマ曲。
このノリノリのチャンステーマ。
この場面ではこの曲に乗って、
レフト側外野席、3塁側の内野席、バックネット裏に至るまで、
満員の大観客のほとんどすべての人たちがうちわを手でたたきながら、
【延岡学園の応援団】と化していました。
大声援となっていました!!

あの夏、
佐賀北が大逆転の満塁アーチで広陵を破った時のように・・・・。
日本文理が9回2死から怒涛の連打、連打で王者・中京大中京を土俵際まで追いつめたように・・・・。

甲子園の魔物は、
球場全体を飲み込んで、
まさにその姿を現そうとしていました。


延岡学園は、
ここで代打の切り札・野崎をバッターボックスへ送ります。

ワタシはこのシーン、
絶対にバントで2・3塁と送り、
同点を狙いに行くべきだと思っていました。

3塁にランナーを送ることで、
高橋光成の低めのスライダーを投げにくくして目線を上げる効果と、
そしてスクイズも考えられる・・・・
なんて思っていました。

そしてこの異様な雰囲気の中、
同点ランナーが3塁に進んだら、
まさに「球場が」同点劇、逆転劇を演出するだろうと想像していました。


しかし、
作戦は強硬策。

野崎の打球は力なくレフト前へのフライになり、
ランナーを送れず、
ここでかなり”魔物”は入道雲の彼方に去って行ったようでした。

高橋光成も、
マウンドでの落ち着きを取り戻したように見えました。

明暗を分けた攻撃でした。


考えてみればこの場面、
これまで何度も何度も、
『バントされたランナーを先には送らせない』
という守備を見せつけていた前橋育英のアグレッシブな守備が、
延岡学園の攻撃を躊躇させたのではないだろうか…・
冷静になって考えてみると、
そうではなかったかと思っています。

延岡学園は、
ここでバントさせて3塁で刺されたら、
それこそ”流れ”を失ってしまうと考えたのではないですかね。

そんなことを感じさせるシーンでした。


まさに前橋育英の、
究極の【守り勝ち!】。
そんなシーンではなかったのでしょうか。

鍛えに鍛えてきた≪アグレッシブな守り≫、
この究極の場面でも、
存分にその威力を発揮したのではないかと思っています。


ここまで来たら、楽しんでいこう!


監督さんがナインに伝令で伝えた言葉。
『お前たちの守りを、見せてやれ!!』

なんという言葉、
なんという自信、
そしてなんという信頼でしょう。


打たせろ!俺たちが絶対に守ってやる!


剛腕エース・高橋光成を支え、
これだけ守れる素晴らしいチーム前橋育英が、
次打者の3塁ベンチ前のフライをキャッチャー小川が渾身のスライディングキャッチで2アウト。

そして最後は、
【2年生の剛腕】が、
バッターを空振り三振に切って取り、
この”長く熱い夏”に終止符を打ちました。


見事としか言いようのない、
前橋育英の初出場初優勝という快挙でした。


おめでとう!!
前橋育英の皆さん。


高橋光成投手の素晴らしい投球。
そして”究極の”守備陣。

まさに『優勝に値する』素晴らしいチーム力でした。


幸せの時間。父である監督のインタビューの後ろで自身のインタビューを待つ主将。



そして、夢にまで見た真紅の大旗!



夢心地の、場内一周!



最後まで健闘した延岡学園の場内一周です。

初戦、2戦目を1-0のしびれる完封勝ち。
3回戦では名門に何もさせずに圧勝すると、
準々決勝では、
『2点ビハインドの9回2死、しかも打球はセカンドの緩いゴロ』
これであきらめない方が、おかしい……
という状況の中からよみがえってのサヨナラ勝ち。

準決勝は大ピンチの初回での”スーパーゲッツー”で流れをつかんで快勝。

そしてこの決勝では3点のビハインドを追い付き追い越し、
”甲子園の魔物”からもエースを守り切って、
栄冠を手にしました。

見事!!

群馬県2度目の全国制覇は、
ディフェンスと粘りの勝利でしたね。


敗れた延岡学園。

こちらも素晴らしいチームでした。

決勝では最後に屈した形となってしまいましたが、
県大会前に”エース”を故障で欠きながら、
その苦境を救った【2人のエース】の活躍で、
どんどん力をつけて決勝まで駆け上がってきました。

粘り強い攻守は、
本当に『総合力というのは、こういうことを言うんだなあ』ということをワタシに思い出させてくれました。

その”総合力”の中には、
アルプス席の応援も含まれます。

あのノリノリの”あまちゃんのテーマ”を最初から最後まで、
疲れることなくやり切ったアルプスの皆さんの力は、
選手に勇気とパワーを与えていたと思います。

選手もスタンドも、
実に楽しそうに野球をする、
好チームでした。

若い重本監督。

このチームの指揮を執って3年弱。
本当にいいチームに仕上げてきました。

横瀬、奈須。

両投手の豊かな表情、
この大会の宝です。


ワタシは今年は、
たまたま準々決勝からの甲子園参戦だったのですが、
観戦した7試合がすべて素晴らしい試合だったこともあり、
本当に思い出に残る大会となりました。

こんなにさわやかな感じが残る大会は、
稀ではないかと思っています。

素晴らしい大会でした。

戦国大会と言われ、
『どこが勝ってもおかしくない』
と言われる中でのワタシの感想は、
『やっぱり、勝ったチームが強かった!!!』


大会の総評は、
また別の記事で。

今はただ、
余韻に浸っています。

今朝は朝起きて、
決勝のVTRと熱闘甲子園を見た後、
こうしてコンピュータの前に座っています。

いろいろなプレーが、
頭の中を駆け巡っていきます。

『ああ、頭の中を通常モードに戻すには、しばらくリハビリが必要だなあ・・・・』

幸せな14日間でした。

全ての選手たちに、感謝!!


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