大相撲初場所千秋楽。
14日目を終了して白鵬が1勝先行するという展開に、
NHK解説の北の富士氏は、
『本割で白鵬が優勝』
との予想を立てていました。
それに対して、
向正面に座った舞の海氏。
『いや、本割は勢いで鶴竜が制し、決定戦で白鵬が勝って優勝する』
と予想しました。
舞の海氏。
相撲に対する洞察力の鋭さ、
そして正面から力士、角界に対して意見を言う姿勢、
そしてそうでありながら、
あくまでもソフトでわかりやすいしゃべり口。
ワタシはいつも、
『この人こそが、相撲の伝道師だなあ』
という思いを持ちながら、
楽しく解説を聞いています。
あふれんばかりの相撲に対する愛情は、
見て、聞いていて清々しさを感じます。
その舞の海の予想に、
『そうか、そうなるかもしれんなあ』
と思って観ていた、
千秋楽の土俵でした。
この日は千秋楽とはいえ、
中入り後はため息の出るシーンばかり見せられていました。
まず登場した期待の遠藤は、
貴ノ岩のいなしにあっけなく土俵を割り、
技能賞を逃しました。
そして、
里山-高安では、
幕尻の地位で7勝7敗と勝ち越し、そして技能賞をかけて『土俵人生最大の大一番』に上がった”幕内最軽量の苦労人”里山が、
実力では数段上の高安に対して組み付いて蝮の様に離れず、
乾坤一擲の相撲で勝利!!!
を収めたはずが、
何だか物言いがつき、
結果【マゲを掴んでいた】
ということで反則負け。
『納得できない』
ワタシは大きく画面に向かって叫んでしまいました。
更に三役揃い踏みの前には、
稀勢の里が足のケガで休場。
横綱を狙うどころか、
来場所はカド番で『大関の地位を守る』土俵となることになりました。
結びの決戦の前の豪栄道と琴欧洲の一番も、
立ち合いが合わず”待った”の上、
7勝7敗の豪栄道が立ち合いで大きく変化。
あっけないというよりも、
『情けない』相撲っぷりで観衆のため息を誘いました。
そんな、
モヤモヤしっぱなしの千秋楽でしたが、
そんなことは、
今場所を盛り上げた横綱・白鵬と、
大関・鶴竜が吹っ飛ばしてくれました。
本割では、
鶴竜が立ち合い鋭く踏み込んで、
一度離れた後白鵬の張り手をかわして懐に潜り込み、
もろ差しから一気に寄りたてて攻め勝ちました。
見事!
としか言いようのない、
完璧な相撲っぷりでしたね。
これで両者は14勝1敗の相星となり、
久しぶりに『優勝決定戦』となり、
両国国技館は大いに盛り上がりました。
決定戦の土俵に上がった二人。
仕切りを見ていた舞の海さんは、
『う~ん、鶴竜が固くなってますね』
と一言。
さすがはよく見ていらっしゃる。
緊張感が隠せない鶴竜は、
本割の一番と比べて、
この決定戦の立ち合いはやや立ち遅れ。
そこを≪相撲巧者≫の横綱ががっちりと組みとめ、
速攻を許さない四つの形を作り、
逆に早々と寄り立てて、
勝負を決めました。
『初優勝は許すまじ』
の横綱としての気迫が上回った、
28回目の優勝と成りました。
白鵬関、
おめでとう!!
『さすが』
という言葉しかない、
見事な優勝でした。
ノリにノる相手を迎えても、
最後はやはり【大横綱】が勝ちきり、
しっかりと土俵を締めてくれました。
これでこそ横綱です。
大鵬然り、
北の湖然り、
千代の富士然り。
どんなに『強すぎてつまんない』
と言われようとも、
横綱とはそうあるべきものです。
そういうことをまたも見せつけてくれて、
白鵬の堂々たる優勝でしたね。
『負けてニュースになる』
そんな力士であり続ける白鵬には、
やはり神々しさを感じます。
そんな白鵬の次の目標は、
V30そして大鵬の持つ32回の優勝回数の更新でしょう。
盤石を誇る白鵬にも、
今場所の鶴竜、
そして先場所優勝の日馬富士が、
並び立とうと牙をむいています。
しかし彼らも、
こと年齢ということでは、
白鵬とほぼ同年代なんですよね。
長く長く活躍しているので、
白鵬はず~っと年長者という感じがしますが、
考えてみれば他の上位力士たちとはほぼ同年代。
追ってくる彼らは、
決して『若手』というわけではありません。
若手と言えば、
今場所大活躍の遠藤、大砂嵐、
そして何か一つきっかけをつかみかけている勢などに、
可能性を感じます。
順調に成長して、
横綱を脅かす力士になってほしいと、
心から思います。
やはり千秋楽までの【優勝争い】は、
土俵を盛り上げますからね。
ということで、
白鵬の28回目の優勝で幕を閉じた初場所。
いい場所だったと思います。
来場所は日馬富士も復帰して、
『荒れる春場所』
になるのでしょうか。
期待は大きいです。
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