第104回全国高校野球選手権大会 ~甲子園~
【準決勝】
第1試合 仙台育英 18-4 聖光学院
第2試合 下関国際 8-2 近江
準決勝を迎えた甲子園。
ほぼ満員の観客を迎えて、
天候も崩れずいい感じで試合が行われましたね。
大本命の大阪桐蔭が準々決勝で敗れ、
ある意味意外な対戦となったこの日の2試合。
まずは第1試合、
これは非常に意外な展開となりました。
1回表裏の攻防。
仙台育英が無死1・3塁の絶好のチャンスをスクイズ失敗で逃すと、
聖光学院は同じ1・3塁から4番三好がタイムリーを放ち1点を先取。
なおも続いた満塁のビッグチャンスで、
狩野がピッチャーゴロのダブルプレーに倒れて追加点はならず。
結果的にこの一打が、
試合を決めたことになりました。
2点、3点と先制していたら、
試合は全く違った展開になっていたことでしょう。
しかし1点で抑えたことで仙台育英が勢いづきます。
すかさず2回表、
まず先頭打者が四球で塁に出ると、
その後はもう、
打つわ打つわの大お祭り状態で攻撃が続き、
そこに守備が堅いはずの聖光学院のミスが続いて、
15分後、気がつくとスコアボードにはなんと「11」という数字が輝いていました。
ヒット、ヒット、ヒット、ヒット、四球、
三振を挟んでヒット、ヒット、四球、ヒット、ヒット。。。。
11人が次から次に、
ホームを駆け抜けていました。
高校野球史上でも珍しい、
1イニング二けた得点。
両軍のベンチもアルプスも、
そして一般の観客も、
あっけに取られてぼ~ッとグラウンドを眺めているだけ。。。。。。
そんな風情の猛攻撃でした。
それにしても仙台育英の攻撃は見事。
早く低いゴロ、ライナーが、
次から次へと野手の間を抜けていく様は壮観でした。
一方の聖光学院にとっては、
打たせたゴロがすべて野手のど真ん中を抜けていく球運に、
なす術が全くありませんでした。
この11点で試合は完全に決まってしまいましたね。
その後も仙台育英は攻撃の手を緩めず、
7点を挙げて都合18点。
19安打の猛攻で、
決勝進出を決めました。
聖光学院はこれまでの甲子園ですべてうまくいっていたことが、
この日は「勝手知ったる相手」との対戦ですべて裏目に出て、
追っていく力は残っていませんでした。
仙台育英は「先発3本柱」は全く登場せず、
この日は高橋ー湯田ー仁田のリレーで完封。
決勝に向けて、
これほどコンディションの整ったチームは、
見たことがありません。
まさに盤石の態勢を整えて、
決勝を見据えていきます。
さて第2試合。
昨夏2年生ながら大阪桐蔭を破り一躍株を上げ、
今年の春は直前の代替え出場ながら快進撃で決勝に進出した近江・山田投手。
度重なる激闘から「甲子園の激闘王」となったこのチーム、
大黒柱・山田はこの日も先発のマウンドへ。
この大会5試合目、
しかも準々決勝では足の裏がつり降板している山田投手でしたが、
この日も疲れを引きずりながらも気迫の投球を見せて、
前半戦は互角の奮闘を見せました。
一方の下関国際。
準々決勝で大本命の大阪桐蔭を破り、
一躍全国にその名をとどろかせた新興チーム。
この日も勢いそのままに前半から先制して試合の主導権を握りますが、
近江に同点に追いつかれて、
5回を終了して2-2とタイのまま試合は後半戦へ。
じりじりするような試合展開の中、
グラウンド整備明けの6回表、
下関国際にビッグチャンスが訪れました。
ここにきて制球がままならなくなった近江・山田投手が連続四球とFCで無死満塁。
1死から下関国際は、
それまで2打席ともに全くタイミングが合わず打たされて連続の併殺打を打っていた森が、
追い込まれてから真ん中高めに入ってきた球をはじき返してライトに2点タイムリー。
ついに均衡が破れ、
下関国際が再度試合の主導権を握りました。
山田投手は限界でしたね。
この6回の続くピンチは最後の気迫を見せて連続三振に切って取りましたが、
7回にも1点を失い、
ここで星野にマウンドを譲ってライトに下がりました。
ライトに下がる山田に、
アルプス、内野席、外野席を問わず球場全体から、
万雷の拍手が送られました。
甲子園のヒーローに対するこのあたたかい拍手。
山田投手の投手としての甲子園は、
ここで最後となりました。
下関国際は代わった星野投手を果敢に攻め、
8回には連続スクイズを決め突き放しました。
下関国際の攻め、
まさに硬軟自在で、
乗りに乗っていますね。
最終的には8点を挙げて8-2と大量のリードを奪うと、
2回からマウンドに上がっていた「抑えのエース」仲井が、
強打の近江打線に力勝負を挑み見事抑えきりました。
下関国際は8-2の快勝で決勝へ進出。
仙台育英を迎え撃ちます。
決勝は、
仙台育英と下関国際の対戦となりました。
大会前には思いもしなかった決勝のカード。
それだけに面白さが満載の、
素晴らしいカードですね。
仙台育英は盤石な投手陣を軸に、
確実に価値を積み重ねる野球が見事です。
3回戦では終盤まで苦戦も、
明秀日立の左右の2本柱に対して、
最後はしっかりとボールを見極めるスキルで連続押し出しで逆転。
準々決勝では愛工大名電のスキのない攻守に対して、
足で揺さぶりをかけて前半速攻で主導権を握るという試合。
準決勝では一転猛打で聖光学院を前半に突き放しました。
どんな試合展開でも、
全くぶれずに自分たちの野球をやり切る仙台育英。
89年、15年に2度の決勝進出を果たしていますが、
いずれもややアンダードッグという立場で決勝に臨んでいます。
しかし今回は明確にフェーバリットの立場。
「普通にやれば、勝ちは見えてくる」
と評される中、
今までのように自分たちの野球をやり切れるかどうか。
投手陣は盤石。
大崩れすることはまず考えにくい安定感で、
あとは打撃陣がこれまでのように鋭く援護したいところ。
待ちに待った「東北勢初めての全国制覇」まで、
あと一歩と迫ってきました。
一方の下関国際。
力はあると思われていたものの、
まだまだ甲子園で実績を残したことはあまりない学校ゆえ、
優勝に絡むとは思われていませんでした。
しかし2回戦、3回戦をしっかりと勝ちあがり、
準々決勝では大阪桐蔭に対して見事な試合を展開。
王者を破ると準決勝では選抜準優勝の近江を圧倒。
見事な戦いぶりは、
これまでの甲子園で優勝まで駆け上がったチームのそれとよく似ています。
勢いに乗って頂点まで駆け上がれるか。
決勝の焦点は、
まずは投手起用ですね。
これまで先発は左腕の古賀に任せていましたが、
準決勝の投球を見ると、
かなり疲れが残っていて厳しい状況にも見受けられます。
一方のリリーフエース仲井は、
見事な投球で近江打線を抑えました。
県大会では準決勝、決勝と仲井が先発して完投。
仲井も疲れはかなりあると思いますが、
監督がどちらを先発に選ぶのか、
非常に興味がありますね。
また打線は絶好調。
大阪桐蔭の前田、近江の山田といえば、
今大会の左右のNo1投手。
この両投手に対して、
振り負けることなくしっかりと打ち崩して攻略した打線は、
まさにホンモノの輝きを放っています。
仙台育英の盤石な投手陣に対しても、
これまで同様しっかりと対峙して攻略できるか。
ここまでくると、
両校ともに最後の試合だけに、
持てる戦力を余すところなく使い切って、
最後の勝利を目指してくると思います。
そこにドラマも生まれる。
ひょっとしたら、
とんでもない激戦になるかもしれません。
展開はいろいろと考えられますが、
はっきり言って考えるだけムダ。
なるようにしかならん・・・・
その境地に立ち、
場面場面で的確なプレーを続けたチームが、
栄冠を得ることになるでしょう。
あと数時間で、
長かった今年の甲子園も、
クライマックスを迎えます。
さあ、
どんな戦いが待っているでしょうか。
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