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第86回選抜高校野球大会   ≪大会展望≫

2014年03月07日 | 高校野球

≪第86回選抜高校野球大会≫

【総合展望】


雪国に春を呼ぶか 大型チームの日本文理が全国の頂点に挑む

今年は『雪』がキーワードか。

春の選抜を待つ間、今年は本当に寒く雪が多い冬であった。首都圏や西日本の太平洋側などでも例年にない大雪が複数回降り積もり、日常生活にも支障をきたした。しかし、そんな中でソチ五輪も開催され、さらにさかのぼれば冬の高校サッカー選手権では、初めての北陸勢同士の決勝対決が実現。雪国の冬を大いに盛り上げた。
そしてセンバツ。『今年は雪国の年』というのはなにも冬の競技ばかりではない。それを証明するために、あの『9回2死からの脅威の粘り』がファンの頭に残っている日本文理が、殴り込みをかける。今年のチームは、ベテランの大井監督をして『準優勝時よりもかなり上』と言わしめる大型チームで、【北信越勢初の甲子園制覇】はもう、手を伸ばせば届くところまで来ているといえよう。

そんな日本文理を、期待も込めて今大会の優勝候補筆頭に挙げてみようと思う。


日本文理のチームの生命線は、大黒柱・飯塚の投打

今年の日本文理。昨夏の甲子園を経験したメンバーが多数残り、秋の北信越大会を苦しみながら制覇。そして臨んだ各地区優勝校の集う明治神宮大会で、その力を存分に発揮。順調に勝ち進み、決勝でも沖縄尚学を一時は8点リードするなど、しぶとい野球を信条とする今までの北信越のチームとはかけ離れた破壊力を見せつけた。その沖縄尚学戦では、神宮の森に3本のHRがこだまして、沖縄尚学の比嘉監督をして『どうにもならない』と言わしめた力強さを誇る。とにかく狙い球を絞って思い切って振り切る打法は健在。このメンバーは09年の準優勝を地元で見て、それを心に刻んで集ったメンバーだけに、その準優勝を超えて優勝旗を手にするというモチベーションは高いはずだ。
チームの大黒柱は、その明治神宮大会でホームラン2発をたたき込んだバッティングにも注目が集まる、エース飯塚だ。このエース、昨夏の甲子園でもあの大阪桐蔭と対戦して経験値を積んでおり、各地の強豪チームに名前負けすることはない。打撃、守備・・・・心配するほどの穴のない戦力に仕上がった今年は、ベテラン大井監督が『勝負できる年』に位置づけているのもうなずける戦力だ。
近年東北勢の躍進が凄まじく、ともすると隠れがちだった北信越勢であるが、今年の日本文理は『やってくれる』との期待を担っての登場になる。雪で冬場になかなか十分な練習を積めない地域である【雪国のハンディ】を背負った新潟県であるが、実は今年は雪がほとんど降らなかったということで、調整にはうってつけの”冬”だったようである。他の太平洋側のチームは、今年の冬はことごとく雪に悩まされたことが想定されるため、何やら【風】は日本文理に吹いているような気もする。


有力校は両手でも足りない。大混戦の春が待っている。

さて、そんな日本文理の悲願が今年の春の大会のポイントであるが、俯瞰して戦力図を見ると、例年にも増して『本命不在』『大混戦』というキーワードも浮かび上がってくる。
昨年の選抜大会。優勝した浦和学院はすさまじい猛打と安定感抜群のエースで圧勝したが、大会前はさほど注目されたチームではなかった。秋の明治神宮大会では序盤で大逆転負けを食らい、長年言われていた”勝負弱さ”を払しょくできていないと分析されたからだ。また、準優勝の済美も、剛腕安楽を擁していたものの、優勝戦線に顔を出せるチーム力との評価はなかった。しかしながら、ひと冬超えての両チームの”成長度”はすさまじく、春の主役となっていった。
しかしながら両校ともに、昨年のチームで言えば『春がピーク』に仕上がっていて、夏は両校とも甲子園出場こそ果たしたものの、チーム力はピークアウトして、優勝戦線に絡んでくることはなかった。
甲子園を狙う高校野球のチームとしては、各校ともに【究極の目標は夏の選手権】ということは、疑いがないところだろう。そこを目指してチーム作りをする上で、選抜大会というのは実に微妙な大会であるということも言えよう。もちろん『甲子園大会』であるからにはそこを目指して・・・・・というのは真実だろうが、あまり春にチーム力をピークにもっていきすぎると、夏に向けてのチーム作りが難しくなってしまうというジレンマを、各校ともに抱えての大会参戦だということは考慮に入れて大会を見る必要があろうと思っている。

前置きが長くなってしまったが、今大会の傾向を。
一昨年は大阪桐蔭が春夏連覇をしたものの、昨年春、夏共に優勝戦線に絡めなかった近畿勢にビッグネームが揃った。
まずは連続出場の龍谷大平安。待望の専用グラウンド開場から2年目。その効用がじわじわと出てきた今年のチームで、甲子園の実績を積みたいところ。公式戦負けなしで臨んだ昨秋の明治神宮大会で、日本文理を押し込んだ力は本物。打線の力は大会屈指。層の厚い投手陣も信頼感が厚く、しっかりとした戦いが出来そうな雰囲気が漂う。まずは苦しみ続けた『4強の壁』突破に序盤で勢いをつけた戦いがしたい。大阪から唯一の出場となる履正社は4年連続の春。もっとも戦力が充実していた2011年は4強に進出。それ以来の甲子園での躍進を狙う。今年のチームも伝統の投手力を中心とした守りに自信を持つ。エース溝田が一本立ちして、大阪代表らしい分厚い戦力が整っている。大型チームという点では、智弁学園智弁和歌山の”両智弁”をあげないわけにはいかない。智弁学園は、なんといってもセンバツ最大の注目株であるスラッガー・岡本の豪打に注目が集まる。何しろ秋だけで22本塁打という、超絶な記録を引っ提げての出場だ。豪打でことごとく相手をねじ伏せて勝ち進んできたが、敗れた試合はその岡本が徹底マークされ、焦った以下の打順の打者たちがチャンスに凡退を繰り返すという悪い循環に陥った。この轍を踏まないよう、5番以下の打順の底上げが、即勝利に結びつく。智弁和歌山は、相変わらずの猛打は健在。いつものことではあるが、やはり今年も投手力には一抹の不安は残す。しかし、『茜色のユニフォーム』は相手に対して圧倒的な威圧感があり、近年の甲子園での『チャンスは作るが一本出ず、ずるずると回を重ねる』という展開に陥らなければ、打線の力で上位に駆け上がる力は十分に持っている。

上記の近畿4強が目立つ大会だが、それ以上の戦力を持っているチームもいくつか散見される。
その筆頭は沖縄尚学だ。昨年も春夏共に甲子園出場。甲子園を知り尽くしたチームで、今年は自身3度目のセンバツ制覇を視野に入れている。昨秋の明治神宮大会では、決勝で日本文理に対し0-8からまくっての勝利。その時の打線のド迫力ぶりは、今大会の【優勝候補筆頭】と言ってもいいぐらいで、日本文理と2強を形成する。看板の打線は、沖縄のチーム特有の低いライナーを打つのはもちろんだが、それにホームランを打てるパワー、そしてかき回す機動力も備える、硬軟自在な攻撃が仕掛けられる打線だ。『2ケタ得点はないが、どんな投手からでも5点は奪う』力を持っており、戦いを進めるうえで信頼性の高い打線と言える。そしてマウンドを守るのはダイナミックな投球が身上のエース・山城大。このエースも、『完封はないが、相手をまず2,3点には抑える』タイプの投手で、この投打を持って、どんな相手に対しても5-2,5-3ぐらいのスコアで安定して勝っていくタイプのチームだ。
その他では、【選抜には選出されない】という下馬評を覆して出場を勝ち取った超名門、横浜明徳義塾にも”優勝候補”という冠をつけてもよいだろう。秋はどちらもパッとした戦いぶりではなかったものの、そこは渡辺、馬渕という甲子園を知り尽くした名将に率いられたチーム。冬場に戦力をグッと上げてきていることが十分に予測できる。もともと今年のチームでの全国制覇を目標にしていたチームだったが、両校ともに昨夏の甲子園に出場したことで秋の新チームでの戦力整備に遅れが生じ、秋を落としてしまったという印象だけに、春以降の戦いには期待が持てる。横浜はエース伊藤、高濱、浅間、川口の打撃陣とキラ星の揃う戦力。しっかりとした野球さえできれば、06年以来のセンバツ制覇も十分に視界に入ってくるチームだ。明徳義塾は、『安定感では全国屈指』の好投手・岸を擁して、安定した守りで僅差のゲームをものにする野球で勝ち進むチームだ。岸の仕上がりが十分であれば、このセンバツの時点で彼を完全に打ち崩すのは至難の業。勝ち進むためのメソッドを持っているチームのため、上位進出は十分に現実味を帯びる。『15度目の挑戦にして、初のセンバツ制覇』は、決して夢物語ではない。


サプライズを起こす可能性は・・・・どの高校にもある


ここまで名前をあげたのは8校。しかしながら、今年はこの8校以外から、優勝校の出る可能性も非常に高いと思っている。それだけ各校の戦力は拮抗しており、波に乗って一気に頂点まで駆け上がる可能性のあるチームも数多い。
まずは切り札を持つチーム。佐野日大は、大会屈指と言われるエース左腕・田嶋次第。秋の関東大会で痛めた左足の回復が遅れているのが気がかりだが、この”ドラ1候補”が、昨年の安楽の再現を狙う。初顔ながら、広島新庄のエース山岡の安定感も光る。巨人に入団した先輩・田口に遜色ないと言われる球のキレは、旋風を巻き起こすに十分な光る逸材だ。広島新庄は打線もまずまずの力を持っているため、広島勢としては崇徳以来の『初出場V』のチャンス到来と言えよう。昨夏からの連続出場組としては、三重の評判がいい。エースの今井は安定感のある技巧派。そのエースを支える打線は、今大会でも上位の力を秘める。 2011~12年には【3季連続甲子園決勝進出】というとてつもない大記録を達成して一気に名門の仲間入りを果たした光星学院は、それ以来の出場となる。もともと大型打線を中心とした迫力ある野球はファンも多く、今年もその流れを踏襲したチームだ。しかしながら、今年のチームはスケールは大きいがまだまだ荒削り。このセンバツで、大会中に成長する姿を見せられれば上位進出も。7年ぶりに甲子園に帰ってくる、かつての『甲子園連覇校』の駒大苫小牧は、当時のキャプテンである佐々木監督の初陣となる。その当時の神々しいばかりの強さを復活させる第一歩となれるのか。

話題性という意味では、なんといっても復活した池田がNO1か。かつての”やまびこ打線”には遠く及びそうもない戦力であるが、オールドファンにとっては何とも懐かしいユニフォームでの活躍が期待される。そして東京から21世紀枠で出場の小山台は、都内では名うての名門進学校。近年の野球での進境も著しく、注目のエース伊藤で『都立初』の甲子園勝利を狙う。21世紀枠では、その他にも奄美大島の大島高校が初の出場。そして、戦前から活躍する海南と”10人でのセンバツ”で有名になった大成が合併した和歌山海南も楽しみなチームだ。

昨秋”北関東大会”とまで言われて進境著しかった北関東勢としては、白鴎大足利桐生第一山梨学院大付がそれぞれ出場。波に乗って8強を狙う位置か。
沖縄から初出場の美里工は、新チーム結成時から関東遠征を行い力を溜めてきた。関東の各チームがその攻守の鋭い動きに感嘆している好チームで、甲子園でかつて大旋風を巻き起こした宜野座、浦添商、八重山商工らと”同じにおい”のする、快進撃の予感を秘めた好チームだ。昨年も甲子園を経験する福知山成美報徳学園はその経験値を生かしたい。このところ甲子園で悔しい負け方が続いている今治西は、久しぶりに今治西らしい攻守に粘りのある戦力を整えてきて、期待が大きい。関東一は一昨年4強。今年は粘りのチーム。岩国は秋の中国大会で快進撃。エースの柳川が本調子なら面白い。神村学園は新体制でどういう野球を見せるのか。鎮西は久々の出場。創成館は2年前、まさかのセンバツ漏れをして”悲劇のチーム”と言われたが、今回は明治神宮枠であきらめかけていた甲子園をタナボタでもぎ取った。そのツキを生かしたい。東海大三は高井ジュリアンが、ハーフとしては珍しいプレースメントで勝負する好投手として姿を見せる。なかなかの好投手だ。豊川の合言葉は『駅伝に続け!』。駅伝並の実績を残して、世間をあっと言わせられるか。最後は、被災地の声を背負って初めての春に挑む東稜。OB監督のもと、甲子園に殴り込みをかける。


今年のセンバツは、例年にも増して激戦が予想される大会になりそうです。
いずれにしても、雪の多かった今年の冬、その合間から土筆が芽を出すように、
”新しい球児たち”が春の風に乗って躍動する姿、
そのまぶしい姿をまることができるのを、
今か今かと待ち望んでいます。

例年の通りですが、
今年もセンバツ大会が日本に『春の風』を運んできてくれるのは、
間違いありません。

今年の選抜高校野球大会、
開幕は3月21日です。


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1 コメント

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スポーツの楽しみ (元甲子園球児)
2014-03-07 10:28:28
毎回、貴方様のブログ楽しみに読んでます。

「春の高校野球=毎日新聞」
「夏の高校野球=朝日新聞」
という日本メディアと日本野球界の体質構造のもと、一部の選手(高校)が食い物にされてしまっています。
私自身も当時つらい経験をしました。

トーナメント戦による「負ければ終わり=(日本人の)美徳」、これは大きな間違いです。
サムライの切腹(自死)に似た精神です。

本来、スポーツは元気(健康)や仲間、そして成長(進歩)、感動を楽しむものです。
今の各高校の監督・指導者は大変だと思います。

私も現在は独学ではありますが、地域の子どもたちとお年寄りを集めてスポーツ(運動)を楽しむボランティアをしております。
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