北海道日本ハムファイターズという球団、
本当に移転してからというもの、
生まれ変わった姿を毎年見せてくれます。
『生まれ変わった姿を見せる』ためにとられた施策は数知れず。
日本にはなじまないとされたGM制をいち早く取り入れ、
外国人監督の招へいにも力を注ぎました。
戦力の整備には、
とにかく【生え抜きで強くなる】ことを徹底。
そのためドラフトでは、
『ケガの心配あり』とか、
『素行に問題あり』とか言われた選手でも、
とにかく『これだ』と思った選手には果敢にアタック。
その成果が、
ダルビッシュであり、中田です。
監督の人事にも一家言あり、
『名よりも実』を取る方針。
今年、コーチ経験すらもないキャスターであり大学教授の栗山監督を就任させ、
見事にリーグ優勝に輝きました。
そして昨年のドラフトでは、
『巨人と相思相愛』の菅野(東海大)を1位で果敢に指名。
実を結ぶことはありませんでしたが、
それでもひるまずに今年のドラフトでも、
『メジャーリーグ挑戦』を言明していた大谷(花巻東)をこれまた果敢に1位指名。
そして栗山監督の必死の”口説き落とし”で、
陥落寸前にまで持ってきています。
とにかく老舗球団でありながら【球界に新風を吹き込む】ために動くことをためらわない、
21世紀のプロ野球団の【あるべき姿】を見せてくれる、
大変に好感のもてる球団だと思っています。
その日本ハムが、
今回もまた『サプライズ』な実験を試みようとしています。
それは、
【高校野球監督のヘッドコーチ招へい】
です。
先に発表されたこの試みの主役は、
前川越東高校監督・阿井英二郎氏です。
コアな高校野球ファンにはおなじみのこの名前、
しかし古いプロ野球ファンにとっては、
久しぶりに聞く名前なのではないでしょうか。
東京農大二高で剛腕として鳴らした阿井は、
1982年のドラフト三位でヤクルトに入団。
若い時代は当時の弱小・ヤクルトで中継ぎとして活躍し、
同期の荒木大輔とともに将来を嘱望された選手でした。
しかし程なく故障を発生させ、
その後は徐々にフェードアウト。
いつしか球界から消えていました。
そして、しばらくの時間を経た90年代中盤。
阿井氏が高校野球の監督として再出発するというニュースが躍り、
その名前を世間は再度耳にすることとなりました。
赴任先は茨城のつくば秀英高校。
野球での実績はゼロの高校でした。
なぜなら、
阿井氏が学校に着たことで”野球部創部”の機運が盛り上がったぐらいの学校だったからです。
しかしさすがは元プロ野球選手。
『この部活動は、野球強豪校のような目的ではない』
事を標榜しながらも、
さすがに彼は、
数年でチームを県内で優勝を争えるチームにまで押し上げました。
ワタシ自身も野球の指導の真似事をしてみて言えることは、
さすがに名門校、大学、社会人、プロなどで野球の本筋を歩んできた人は、
野球の指導に対する『引き出し』の多さに感嘆することしきりです。
特に名門校⇒プロと進んだ阿井氏のような人は、
その時の最先端の技術論からコーチング、練習方法などを良く知っていますから、
それを生かしてチームを強くしていけるんだろうなあと思います。
(ただし、チームのマネジメントということとは、全然別の話ですがね。素晴らしい選手が指導者として失敗するのは、マネジメントということを理解できず、失敗するからだと思います。)
そんな阿井氏が次に選んだ高校は川越東高校。
川越東といっても、
公立校ではなくれっきとした私立校。
埼玉では”星野学園”と言った方が通りはいいですね。
スポーツにも一定の理解がある学校です。
そこで育てたのは、
現在早稲田で左のエースとして活躍する高梨投手。
彼を擁して2010年夏には選手権埼玉大会で準決勝まで進出。
甲子園まであと一歩のところまでチームの力は引き上げられていました。
今年の秋の大会でも県大会ベスト4.
【甲子園】という果実が収穫できる寸前まで上り詰めていながら、
今回、阿井監督はその【高校野球監督】の地位を自ら投げうち、
日ハムのヘッドコーチとしての『未来』を選択しました。
驚きの【挑戦】だと思います。
プロアマの規定により、
日ハムのコーチを辞任した後、
おいそれとまた【高校野球の監督】に戻れるわけではないので、
正に彼の決断は『退路を絶って』の重い決断だと感じています。
彼に関して、
さほど【高校野球監督】として印象があるわけではないので、
いったい日ハム球団や栗山監督がどこによさを感じ、
彼に『ヘッドコーチ』という重い責任を伴うポジションにつけたのか、
見当もつきません。
しかし【栗山色】を来年さらに出していきたい監督にとっては、
『どうしても外せない』人材だったことは想像に難くありませんね。
年齢も近く、ヤクルトで長く同僚でしたから。
たぶん【野球観】が同じなのでしょうね。
この日本ハムの実験的な人事。
ワタシは、来年野球を見る楽しみがものすごく増えたと感じています。
この挑戦、長い目で見守っていきたいと考えています。
1年後。
果たして『栗山監督の慧眼に最敬礼』となるのか、
それとも・・・・・・。
年をまたいでも、
やはりパ・リーグは日ハムが話題をさらいそうですね。
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