唯さんの新曲『Empty//Princess』
ついに待ちわびたMVが出ました。
ハロウィンぽい怪しい曲調。
作詞と振り付けは、もちろん今回も、小倉唯本人の作品です。
ちょっと聴くとラブソングのようにも受け取れますけれど…
MVを見るとやっぱりそれはフェイクというか、そうも取れるというだけで、それを装って…
実は、人気商売の「お姫さま」と、ファンとの関係を描いているんですね。
MVのパソコンのモニターの中に映るのは、唯さんがいつも受け取っているようなファンからの賛辞。
「エゴサ」=自分のネット上の評判をチェックする、人気商売のプリンセスですね、これ。
アンチにけなされても傷つくけれど、ファンからいくら褒められても素直に受け取れない。
空しいことばの洪水に、心はうつろになるばかり、という……
みんな見当違いの美辞麗句ばかりで、本当のところはわかってもらえていない。
「褒めてほしいのはそこじゃない、ここ!」という気持ちが湧いてくるんでしょう。
とくに彼女の場合は外見だけ見て「かわいいかわいい」ばかり言われてしまうし。
「そっちじゃない。ここを見て!」
唯さんの切実な叫びなのかも。
でも、ネットの評判を気にし過ぎる自分に対する自嘲と同時に…
彼女自身がそこに掉さして、ビジネスの参考にしている、という自虐もあるのでしょう。
客観的・俯瞰的に自分とファンを眺めての、一種のアイロニーなのはまちがいないところ。
「あなただけを推しています」と言いながら、同時に他の人も応援しているファンが大多数だし。
この間まで熱烈なファンだった人が、いつの間にか離れていて…
他の人に流れて行くさまも、さんざん見て来た彼女でしょうし。
なにしろ、アイドル声優と言われて十数年のキャリアですから。
アンチの残酷さと同じぐらい、ファンの移り気で不誠実な様子も経験しているのでしょう。
彼女の場合、周りの「おとなたち」の言われるままに何かを演じる「お人形」になるのを嫌って…
セルフプロデュースの度合いを強くすることに、ずっと尽力して来て…
そのために普通の何倍も努力して、また、損をしたり遠回りもして来たと思いますけれど。
それだけに、表現したいことが伝わらない、と思って失望することが多いのでしょう。
もちろん、それは彼女の個人的な思いだけでなく、同じような仕事をしている人全体についていえる…
普遍的なお話でもあるわけですが。
ともあれ、MVをご覧ください。
ショートバージョンですけれど。
https://youtu.be/eVpFGyckOJU?si=JKXB2Zs6H1dZUjoA
これを見ると唯さん、28歳のアラサーお姉さまとは思えないほど若く見えるというか…
なんだか6~7歳は一気に若返ったように思えるんですけれど。
でも、そんな誉め言葉を送ればまた、この曲の歌詞にあるように…
「きれいごとばっかだね」
「もうやめて。子供だましの言葉使い」と言われてしまうんでしょうか。
偶像として生きることの孤独ですね。