その中で「社長」から、彼女の名入りのオリジナルタオルや衣料品をイベントで使う場合、TPOを考えた方がいいかも…
という「社員研修」がありました。
要約すれば、ゲームやアニメなど2次元の世界観をベースにして成り立っているイベントやライブでは…
3次元の存在である「推し」個人への、自分の思いだけで楽しむのではなく、周りにいるいろんな人にも配慮しましょうということ。
あれですよ、たとえば仮面ライダーショーを観覧しに行って、ライダー1号の本郷猛が登壇する場合「藤岡弘」と役者名を大書したタオルとか掲げるのは…
世界観を壊すことになるのでは?ということです。
まあ、彼女の個人的な感想と提言なのですけれど、なるべく誰も傷つかないように、いやな気分にならないようにという配慮が十全に行き届いた、優しくソフトな言い回しで…
さすが小倉唯、という感じでした。
そもそも、唯さんが人前で怒ったり、それどころかチラッとでも不機嫌な様子を見せたことは…
もう10年近くに渡り、細かくウォッチングしていますけれど、ただの一度もない。
アンガーコントロールがこれほど完璧に出来る人、十代二十代の若者では、他に見たことないくらいです。
それだけ苦労したり、対人関係でいろいろな経験を積んだりして、いい意味で老成しているのでしょう。
人格者なだけでなく、信じられないほど多才で、職業人として有能でもあるので…
先輩男性声優の入野自由さんが、彼女のことを「上司になってもらってその下で働きたいような人」と称していたのも分かります。
事務所が何度か代わり、レーベル移籍をしても、彼女のアーティスト面の運営をするいわば「チーム小倉唯」のリーダー的存在が…
常にタレントである唯さん本人であるのは、そういうところから来る、必然なのでしょう。
プロデューサー、クリエイター、パフォーマー、すべてにわたる多くの仕事を任され、こなしている彼女。
年齢や性別を超越して、周りの人々を納得させるリーダーシップの根源は…
仕事がうまくいったとき、その手柄をスタッフやコラボしてくれた人達のおかげだとする「感謝」の気持ちと…
うまくいかなかったときに責任を自分自身が引き受ける「覚悟」があるからなのだと思います。
いい年をしたおっさんの管理職でもこの逆を行く人物の方がむしろ多数派なのは大人なら皆が知っている通り。
手柄は独り占め。失敗はひとのせいにして逃げるという…。
ところで…
彼女の仕事への姿勢を良く表した言葉が、今発売中の雑誌『My Girl 41』のインタビュー記事の中にありました。
『自分に起こることはすべて、自分の言動が原因になっている、と思っているかも』
『悪いことが起こったとしても「これが自分の実力なのかな」「自分を取り巻く環境は自分がつくっているのかもな」と思っていて』
『そうすることで誰のせいにもしなくなるし、落ち着いて物事に向き合えるんですよね』
私自身もなんだか耳が痛いような気がします。
けだし名言。
声優として年々腕を上げてきて、今や声の職人として貴重な存在になっていること。
多才で誠実なアーティスト、クリエイター、プロデューサーであること。
それはもちろん素晴らしいことなのですけれど、若くしてここまで気の練れた人格者であるところ、尊敬せざるを得ません。
私の娘としてちょうどいいぐらいの歳だし、見ていると「我が子」のような感情が湧いて来るのですけれど…
それでも「さん」付け(なんならさま付け)で呼びたくなるのは、そういうところなのですよ。
ということで、おまけはまたこちらの曲です。