「帝人・・・・・・俺はこれから休日の街へ行くという用事が」
「どうせナンパでしょ。それよりも、ほんと頼むよ。正臣のがこういうの得意だし、身長も力もあるから」
「ま、いいけどよー」
それから、カンカン、と小気味のよい音が一定のリズムで打たれる。
帝人のアパートはやはり古く、とうとう昨日天井の板が寿命をむかえ、夜中雨漏りをするようになった。
秋雨に打たれ、寝ている間に服が濡れる。畳が濡れる。
「つか、雨漏りすんなら工事してもらえよ。プロに頼めプロに」
「見積もりしてもらったけど・・・到底出せる金額じゃなかった」
「あー・・・・・・でもまぁ、俺が帝人を安眠に導いてやるさ!」
正臣は得意げに、ビシッと帝人を指さした。
「ありがとう、正臣」
指さされた帝人が優しげに微笑むと、正臣も素の笑顔を見せる。
帝人はその瞬間が幸せだった。
「そういやさ、」
「うん?」
「なんで俺?俺よりもこういう作業うまいやついると思うんだけど」
正臣が手を休めずに問う。
帝人は少し逡巡してから答えた。
「正臣なら、やってくれると思って」
「なんだよ俺そういう扱い?」
「責任感があって信頼がおけるってことだよ」
「それならいいや。今度何か奢れよ!工事費よりは格安にしといてやる」
「えぇ!?・・・マックでもいい?」
二人で楽しく笑いながら、たわいのない会話。
それが楽しい。
でも。
(ああ、でも---)
(ただ君に会いたかっただけ、なんて言ったら、僕の気持ちは報われるのかなぁ)
秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露に濡れつつ
「どうせナンパでしょ。それよりも、ほんと頼むよ。正臣のがこういうの得意だし、身長も力もあるから」
「ま、いいけどよー」
それから、カンカン、と小気味のよい音が一定のリズムで打たれる。
帝人のアパートはやはり古く、とうとう昨日天井の板が寿命をむかえ、夜中雨漏りをするようになった。
秋雨に打たれ、寝ている間に服が濡れる。畳が濡れる。
「つか、雨漏りすんなら工事してもらえよ。プロに頼めプロに」
「見積もりしてもらったけど・・・到底出せる金額じゃなかった」
「あー・・・・・・でもまぁ、俺が帝人を安眠に導いてやるさ!」
正臣は得意げに、ビシッと帝人を指さした。
「ありがとう、正臣」
指さされた帝人が優しげに微笑むと、正臣も素の笑顔を見せる。
帝人はその瞬間が幸せだった。
「そういやさ、」
「うん?」
「なんで俺?俺よりもこういう作業うまいやついると思うんだけど」
正臣が手を休めずに問う。
帝人は少し逡巡してから答えた。
「正臣なら、やってくれると思って」
「なんだよ俺そういう扱い?」
「責任感があって信頼がおけるってことだよ」
「それならいいや。今度何か奢れよ!工事費よりは格安にしといてやる」
「えぇ!?・・・マックでもいい?」
二人で楽しく笑いながら、たわいのない会話。
それが楽しい。
でも。
(ああ、でも---)
(ただ君に会いたかっただけ、なんて言ったら、僕の気持ちは報われるのかなぁ)
秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露に濡れつつ