きいろをめでる

黄瀬、静雄、正臣の黄色い子達を愛でる同人二次創作短編小説中心。本館はAmebaです。

放っとかないでってば(臨正)

2010-11-04 19:41:21 | 小説―デュラララ
カタカタカタ。
正臣と臨也のいる部屋には、臨也がキーボードを叩く音だけが響いていた。


正臣はというと、集中している臨也が一言も発さないので、暇を持て余して、雑誌を読んだり携帯を弄ったりしていた。

しかしかれこれ3時間近く。
さすがに飽きる。
なんなら正臣は自宅に帰ればよいのだが、久々の対面だったため、そうしてしまうのもなんだか憚られた。


なので、読み飽きた雑誌を眺めるフリをし、真剣な表情の臨也を盗み見ていた。

今日は珍しく眼鏡をかけている。
部屋に入ったとき老眼鏡ですかとふざけて聞いたが、俺まだ20代だし、と返されてしまった。


(つまんねぇの)

久しぶりに会って触れてなかったというのに。
見慣れない眼鏡姿に、こちらはかなり心が躍っているというのに。
正臣のつまらなさは募る。

(そりゃ仕事は大事だけどさー・・・)


そこでなんとなく、邪魔したくなる。
不満と、好奇心。






「あっコラ」

足音をさせず近づいて、臨也から眼鏡を奪い取った。
そして自分でかけてみる。
視界がちょっとだけ、歪んだ。

作戦成功、臨也さんは仕事中断。

やられたという顔を見て、正臣は満足げに頷く。

「返しなさい」
「嫌ですよーっ」

臨也は目の前の相手の反応に可愛らしさを覚えて思わず破顔したが、仕事への支障を感じ、すぐに態度を切り替えた。

「返してってば」
「それが人に物を頼む態度ですか?」
・・・・・・不条理だ。
「・・・それがないと仕事が進まないので、返してください」
「うーん、そうですねぇ、じゃあ・・・・・・」

そこで正臣が一旦言葉を切る。

「手を使わないで取り返せたら、いいですよ」
「・・・・・・えぇー」
臨也は心底解らなさそうに疑問の声をあげた。

「わからないですか?」
「わかんないよ、ヒントは?」
「仕方ないなぁ、じゃああげます」


そう言うと、正臣は臨也の正面に回り---

ちゅう。

唇に柔らかい物を感じて、臨也は目を見開いた。
至近距離に、目を閉じた正臣。

深い口づけのあと、音をたて糸をひき二つの唇が離れた。


「わかりましたよね、臨也さん。唇と舌、上手く使ってくださいね」





その後、正臣の濡れた扇状的な唇は塞がれ、臨也の仕事はかなりの時間中断されることになった。