これは昨年ある絵画展に初めて出品した作品です。
昨年の夏に地震で半壊した家の裏庭に足を踏み入れると、
雑草が生い茂り荒れてしまった庭にひときわ鮮やかに赤い百合の花が咲いていました。
しばらく花に見入って写真に収めておきましたが、一ヶ月後に訪れた時はこの家も庭も跡形なく取り壊され、更地になっていました。
赤い百合が最後の美しい姿を見せるために私を呼び寄せたのでしょうか。
「どうか私を忘れないで」と囁いているような気がして、その姿を残しておきたいという思いでペンを取りました。
当時はそんな感傷的な思いでこの絵を描いたわけですが、
今改めて思うのは、もしかしてこの花は荒廃した地上に咲く生命力の強さであり、希望を忘れるなというメッセージを残してくれたのかもしれない、ということです。
今世界は突然変わってしまいました。
海外旅行に行きたい、お花めぐりの旅をしたいなんて普通に呑気に考えていた頃が恥ずかしいと思えるような現実です。
飽食や贅沢品に溢れ、様々な享楽がはびこった世界はもう飽和状態にあり、一度全て破壊される運命なのでしょうか。
今しがみついている価値観を一度リセットして、最後に何が一番大切かを考える時がきているのかもしれません。
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